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2023年09月03日14:29

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【展覧会】スペインのイメージ展(国立西洋美術館)

版画の展覧会というと、たとえばデューラーやエッシャーなど特定の画家の作品のみで構成されていたり、あるいはひとつのテーマに沿って何人かの画家の版画作品を集めていたりするが、今回の西洋美術館の展覧会は「スペイン」という大きな括りになっていて、内容をイメージしづらい。心構えができないまま美術館に行くことになった。
気持ちが落ち着かない中、展示室に入ってびっくり。平日の昼間なのにもかかわらず人が多い! 版画は基本的に小ぶりなので、線の緻密さを楽しむためにかなり作品に近づかなければならないのだが、会場が混雑していると自分のペースでゆっくり鑑賞できず、ストレスが溜まってくる。おまけに展示点数が多い。作品をたくさん見られて嬉しい反面、疲れ果ててしまった・・・。

印象に残っているのは以下3点。

ドン・キホーテとサンチョ・パンサ(オノレ・ドーミエ):
2人のシルエットだけが柔らかく描かれていてオシャレ。

風車への攻撃(サルバドール・ダリ):
ドン・キホーテが風車を巨人と間違えて攻撃する有名なシーン。風車が☓印のように大胆に描かれていて、しかもかすれている。これが前衛書道のようでカッコいい。

宝石(パブロ・ピカソ):
宝石店のショーウィンドウから腕が伸びて、ショーウィンドウを覗いている女性を取り込もうとしている、ホラー映画のワンシーンのような作品だ。腕は物理的なものではなく、女性が宝石に魅入っている様子を表しているのだろうけれど、女性がその宝石に心を奪われたがゆえに恐ろしいことが起きそうな予感もあり、そういう意味でもホラー的。

個別の作品とは別に、フランシスコ・デ・ゴヤの版画集「ロス・カプリーチョス」「闘牛技」「戦争の惨禍」「妄」からいくつか作品が展示されているが、いずれも皮肉や幻想に満ちており、ゴヤの独創性や社会派気質が垣間見られる点もぜひメモしておきたい。

常設の版画素描展示室で開催されていたのは「美術館の悪ものたち」。7つの大罪、悪魔、魔物、死や犯罪にまつわる作品が展示室内に並んでいる。ジャンクフードがおいしいのと一緒で、悪とされるものは大体において魅力的だ。

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