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2023年07月01日11:49

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『CLOSE/クロース』 まだまだ映画イケるじゃん、という気にさせてくれる

坂上忍「白黒つけて何が悪い」
「子役の演技」「映像」「間」非の打ちどころなし!! 
『CLOSE/クロース』 まだまだ映画イケるじゃん、という気にさせてくれる

 百点満点の作品です。非の打ちどころがありません。この監督(ルーカス・ドン監督)はすごい!幼なじみのレオとレミは何をするにも一緒。
 学校へ行き、放課後はともに遊び、寝るときだって互いの家を行き来し、寄り添って寝るほどの仲の良さ。
 そんな2人が中学校に入学すると、ちょっと様子が変わってきます。2人のあまりの仲の良さをいぶかしがるクラスメートが、「付き合ってるの?」と。レオは「親友だから仲が良いのは当然だ」とムキになって反論。しかし、これをキッカケにレオはレミと距離を取るようになるんです。
 なぜ自分を避けるのかわからないレミ。
 一方、レオはレミをどこかで気にかけながらも、他のクラスメートと交流を深めていく。
 そして、悲劇は突然襲ってくるのでした。

 とまぁ、ざっくりとこんな感じで物語は進んでいくのですが、とにかくレオとレミ役の男の子の演技が抜群でして、これはひとえに監督の演技指導といいますか、信頼関係がしっかり築けている証しなのかなと。しかも驚きなのが、2人とも演技は初経験だとか。
 とにかく、自然な演技+透明感が圧倒的なんです。
 
 わたしは本作を観進めながら、ふと、故・相米慎二監督や、現在ならば是枝裕和監督の作品に出て来る子役さんの演技を思い浮かべました。
 演技に見えない演技とでも言うのでしょうか、余計なことは考えずに素直に心で演じている感じ。
 口にするのは簡単ですが、なかなかどうして根気が必要な作業ですから容易ではなかったと思います。
 そんな2人の演技を彩るかのように、まぁ映像がきれいなこと。
 ただ、単純にきれいということではなく、すべてのカットがレオとレミの心情につながっているのがお見事なんです。
 最近では映画やドラマを早送りで観るのがはやっているようですが、アホぬかせ! タイパがなんぼのもんじゃい!
 映画もドラマも舞台も落語も漫才も、すべては「間」なんです。早送りで観て、「間」を感じることなどできません。そんなのは観ていないのと同じなんです!
  
 本作は映画だからこその「間」にとことんこだわった、本物の作品だと思います。ちなみに、ラストカットはレオのアップで終わるんです。ほぼほぼカメラ目線のレオのアップで…。
 その表情が、どのようにも解釈できる微妙な目をしているんです。エンドロールが流れる中、昔を思い出してしまいました。
 わたしが学生の頃は、デートといえば映画ばかりでして、観終わった後は必ずファミレスに立ち寄り、ああでもないこうでもないと感想を言い合ううちに意見が分かれ、気まずい空気になることもあったりして…。
 
 映画館に人が集まっていた頃ですよね。
 ただ、「クロース」のような作品にめぐり会えると、まだまだ映画イケるじゃん! という気にさせてくれます。
 わたしは3回泣きました。ですが、映画館で観ていたら、おそらく泣きっぱなしだったと思います。
 間違いなく名作です。できれば映画館で観ていただきたい。そして、恥ずかしげもなく存分に涙を流してほしいです。
 必ず泣けますから。

■坂上忍(さかがみ・しのぶ) 1967年6月1日、東京都生まれ。俳優、タレント、映画監督、演出家などマルチに活躍。

 7月14日(金)全国のMOVIX及び主要単館系映画館で公開。
 https://closemovie.jp/


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