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2023年05月15日23:05

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【展覧会】ジョルジュ・ルオー かたち、色、ハーモニー展(パナソニック汐留美術館)

ルオーの絵は実はあまり好きではない。だが、ルオーの作品に囲まれた時に無性に泣けてきたことが何度かある。しかも、絵に囲まれただけで泣けるのはルオー以外に経験がない。それがなぜなのか、いまだに答えは見出せない。今度こそ何か分かるのではないかと期待して、美術館へ向かう。

今回の展覧会ではルオーが繰り返し描いた裸婦、サーカス、裁判官がテーマごとに展示されており、各テーマの描かれ方の変遷を見ることができるのだが、どのテーマも晩年の作品は絵具てんこ盛り。この、いわゆる「重厚なマティエール」がルオーの魅力の1つとされているが、私は苦手だ。自分の体に絵具をべったりと塗り付けられたような気持になり、見ていて息苦しい。
薄塗りの中期の作品は絵具の油分が輝いて、透明感を感じるのだけれど・・・などと考えながら第4セクションへ。
代表作の1つ、モノクロの銅版画「ミセレーレ」が9点まとめて展示されている壁面の前に立ったとき、急に涙が出そうになった。絵をしっかりと見たわけではなく、絵の前に立っただけなのに。
本当に不思議。またしてもルオーにやられてしまった。理性を飛び越して、いきなり感性に訴えかけてくる。これがルオーの才能ということなのだろうか?

しかも、今回はこれだけではなかった。
最終セクションの展示室に入りながら部屋の奥を見て、また涙が出そうになった。何と美しいのだろう! そして、そう思った自分に驚いた。今までルオーの絵を「美しい」と思ったことがあっただろうか?
展示室には黄色系が目立つ作品が並んでいる。温かく穏やかな佇まいの作品ばかりで、展示室全体が明るい太陽に照らされているような気がした。

ルオーの絵に囲まれてなぜ泣きたくなるのか、結局今回も理由は分からないままではあるが、ルオーの絵を美しいと思えたことは大きな収穫だった。

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