開幕翌日の夜間開館を狙って美術館に出かけた。出品リストに記載されている展示点数は155点とかなり多いが、彫刻、印刷、写真はスルーして絵画作品のみを鑑賞して、なんとか閉館までに間に合った。
今回の展覧会はマティスの作品を時系列に辿っていくことができるという点でも興味深い。だが、マティス自身が最初期から独創的なセンスの持ち主であったのか、私がマティスの作風に多少親しみがあるからか、初期と晩年とで大きな変化があるようには感じられなかった。
展覧会の最後は、マティスが最晩年に手掛けた南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂の映像。シンプルでモダンな内装がとても美しく、機会があればぜひ訪れてみたいと思った。
以下、印象深かった作品をメモしておく。
「豪奢、静寂、逸楽」:シニャックとの交流を経て描かれた作品なので、シニャック風の点描になっている。でも、このような作品の例をあまり見ないので、マティスは点描は向かなかったのだろう(笑)。
「金魚鉢のある室内」:金魚鉢も、マティスの作品にたまに出てくるモチーフ。周囲の色彩が入り込んできているが、独自の小宇宙を形成しているというところにマティスは惹かれていたらしい。
「コリウールのフランス窓」:景色が描かれるべきはずの場所が真っ黒に塗られている。恐らくは未完成ということだが、第一次世界大戦勃発直後に描かれているので、あえて不安感をあおるように仕立てているのかもしれない。
「黄色と青の室内」:本展覧会の私のイチオシ。黄色と青が南仏らしく、透明感もある。展覧会のチラシを飾るゴージャスな「赤の大きな室内」のすぐ近くに展示されているので、「黄色と青の室内」の爽やかさが際立つように感じられた。
「ジャズ」:マティスの切り絵の代表作。まとめて鑑賞するのは初めてで嬉しい反面、造形がシュールすぎて落ち着かない・・・。
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