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2023年04月16日08:43

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【展覧会】東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密(東京国立近代美術館)

横山大観の「生々流転」に圧倒された。山奥に立ち込める霞が渓流となり、川となり、海に注ぎ、龍となって天に帰るという水の一代記が40メートルもの絹本に描かれている。気持ちが緩んでいるような箇所はない。最初から最後まですさまじい緊張感で描かれているはずだが、穏やかでほのぼのした雰囲気も漂っている。モノクロで想像力が搔き立てられるのだろうか、水の質感が伝わってくるように感じられた。

下村観山「弱法師」と河合玉堂「行く春」が並んで展示されていたのも興味深い。両作品とも六曲一双の屏風だが、雰囲気は対照的。「弱法師」は金地が豪華、夕日が大胆、梅は満開になったばかりで新鮮な香りが漂って来るかのようだ。一方、「行く春」は色数は多いのに渋く、遠景から近景まで細かく描き込まれ、一面の桜吹雪が春の終わりを告げている。

福田平八郎「漣」はモダンでオシャレ。見た瞬間は西洋風だと思ったが、眺めているうちに和風になってきた。

高村光雲の「老猿」は教科書などでお馴染みではあるものの、本物を見るのは初めて。かなり大きい。ワシを捕えようとして取り逃がし、その飛び去る姿をにらみつけている様子を表したものなのだそうだ。サルの左手にはワシの羽が握られている。ワシを捕まえようとするのだから、これくらい大きいのもうなずける。「老猿」とは、老いたサルではなく、サルの妖怪を指すのだろう。

鈴木長吉の「十二の鷹」も圧巻。金属製ゆえの重量感があり、金属製なのにもかかわらず今にも動き出しそうなほどのリアルさと、羽の柔らかさや筋肉の厚みに驚かされた。

さすがに重要文化財、力強い作品ばかり。作品の入れ替えがあるので、リストに記載されている50点すべてを鑑賞することができないのは残念だが、非常に見応えがあった。

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