2023年2月19日劇場鑑賞
実際に行われた会議議事録を基に作られたブラックな映画で、ナチス高官や親衛隊、官庁の実務責任者の立場の違いやユダヤ人に対する偏見や理解が良く表れていた。
物語は、ヴァン湖の別荘で行われたヨーロッパのユダヤ人の移送と殺害について分担と連携を討議した関係各署の調整会議の顛末を描く。
登場人物が多いので状況を理解するのが難しいのですが、組織ごとの色は明確でしたので、その辺りの印象で感想を列挙します。
親衛隊…この会議の主催者でナチス上層部からユダヤ人の最終解決を任されている。仕事熱心で、如何に効率良くユダヤ人を集め特別処置を行うか腐心している。ユダヤ人の事を嫌悪し、ドイツのために誇りを持って職務に当たっていることがよく分かった。
東部占領地域省…親衛隊のことを自分達の職場を土足で踏み荒らす邪魔者と考えている。ユダヤ人を人間と思っていない点においては親衛隊より悪質で、害虫駆除のようなノリが垣間見える。
ナチス高官…総統閣下の意向に沿うのがお仕事のため、ある意味一番無関心。関係部署の顔色を伺う姿勢にやる気を感じられなかった。
ポーランド総督府…ユダヤ人を受け入れる代わりに最終解決の際には優先的に特別処置をしてもらえる約束を取り付けご満悦だった。
司法省…人道的な特別処置やドイツ国民に負担の無い形での最終解決を求める辺りやはり的外れのような気がした。
内務省…ドイツ人の血が1/2入っているか1/4入っているか、または先の大戦で一緒に戦ったユダヤ人かそれ以外か等独特の感性で特別処置するユダヤ人とそうでないユダヤ人を選別しようと提案するも最終解決に対しては否定していない。
外務省…衛星国家や協力国に対する根回し等、ユダヤ人を外交的に排除しようとする、親衛隊に近い協力的な官庁だった。なお、当初はマダガスカル島に全ユダヤ人を追放する予定だったようだ。
四ヵ年計画省…ユダヤ人から没収した財産の分配や軍需物資の輸送や消耗、労働力としてのユダヤ人の処遇を気にするが、財産を没収されたユダヤ人の行く末には無関心だった。
ドイツ国内及び占領地でユダヤ人を選別し隔離迫害するもののユダヤ人問題の最終解決に向けた音頭取りがいなかった事実と戦争中にとても楽観的な観測の元戦後の秩序の話し合いが行われていたという話だった。
銃殺では手間がかかったり軍需物資を消耗するだとか、鉄道輸送は軍需物資優先で代金はユダヤ人に請求するので経費負担はかけないとか、どのような形でドイツおよびその占領地からユダヤ人を強制収容と強制労働と計画的殺害するか検討されていた。
正直お勧めはしないが、歴史的な事実を追体験する意味では良い映画でした。
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