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2023年01月01日01:02

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マン・プラス

フレデリック・ポール

火星環境に適したサイボーグを作る話と記憶していたのだが、それだけではなかった。「西暦2024年、世界人口は80億を越え、全世界は食糧不足と国際緊張にあえいでいた。コンピューターによれば人類滅亡の可能性は90パーセント以上。この危機を乗り越えるためには、火星に植民するしかない」という状況。そこで大統領命令のもと苦労してサイボーグを生み出し火星に住まわせる。普通の人間も住めるドームも作るよと。火星年代記か。初出の70年代ならさもありなんというプロットではある。

本文の語り手である[われわれ]が気になった。計画本部が主語なのか。よくわからないまま読み進めるとそれは最後で明かされた。
われわれとは[コンピュータネットワークの中に芽生えた機械知性]。機械知性は、このままでは人類もろとも共倒れになると考えて、計算機資源やそれを支える人類を分散配置することにしたのだ。そのため人類に与える情報を操作し、火星植民しないとのっぴきならないと思い込ませた。だがその完璧な機械知性も間違えたことが示される。おかげでサイボーグが火星表面で死にかけた。何かが機械知性の計画に偏向を及ぼしたのは誰だ。物語は疑問形で終わる。誰だ。著者は火星の土壌に植物が見つかったことで示唆する。

こんなクラークっぽい話だったとは覚えていなかった。フレデリック・ポールには「ゲイトウェイ」の連作があって、幸いにも一冊持っている。次はそれにしよう。2013年没、93歳だった。
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