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2022年11月24日23:51

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思い出2

その人はとても明るくて誰にでもフラットに接することのできる子だったと思う。だからわたしなんかにも普通に話していたのだろう。その分け隔てなさが有り難かった。
他の人は、クラスに溶け込もうとしない子にわざわざ話し掛けては来なかった。気を遣われていたのかも知れない。一人が好きそうだからそっとしといてあげよう、と思われていたのかも。
その子だけはお構いなしに話し掛けてきた。その雑なのが良かった。その時はわたしもクラスの仲間に入れたようで嬉しかった。
分からないけど、その子にしたら、同級生だから普通に話すでしょ?くらいだったのだろう。
わたしはきっとあの子の思い出の中にはいない。いま殊更に話題にしているのがおかしいくらい、わたしはあの子に関係ない人。

わたしは自分から話し掛けることができなかったが、その人は放っといても向こうから来てくれる。緊張するけど深く考えずにその状況を楽しむことにした。向こうが一方的に話していてわたしは聞いているだけに近かった。それでもまた来てくれる。
がっつり話しに来なくなっても、会えば挨拶してくれる、まだ大丈夫と安心していた。あの子はだいたい連れと歩いていたが、連れの子はどんな顔をしていたのだろう。

クラスが変わって秋頃になると、声を掛けられることは全く無くなった。隣のクラスだったので時々誰かに教科書を借りに来ていたが、わたしの方に構いはしない。それは当たり前なんだけど、あれっ何も言って来ないんだと思った。
かと言って、わたしもその子の方を振り向くことは無かった。知らん振りでスンとして座っていた。

風のように受け流して来たのだから、そのまま風のように忘れ去るべきだったのだろうな。
好きな人はいなかった。誰も好きにはならなかった。それで良かったのだと思う。
わたしが若い頃に好きな人がいた話は誰にもしたことがなかった。今でも無い。
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