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2022年10月18日21:30

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ウソでしょうっ!?


ウソでしょうっ!?

雨後の歩道に張り付いた枯葉を踏みしめながら郵便局に向かった。
歩きながら大使館でのことを思い出していた。

あの時、信じられないことが起きた。
その日は私は戦争にでも行くように昂ぶり緊張していた。
なにしろ最初に行った日の印象が悪かった。記入用紙が欲しいだけなのに入れてくれなかった。追い出されて雨の中大使館に電話し事情を説明するも、答えてくれた女性の態度は一向に理解を示さず、ビザはお持ちかとかともかくアポイントメントがなければとか。
アポイントメントなしで出かけた私の所為ではあるにしても、も少し理解ある返答が出来ないものかと、大使館が敵のように思えてしまったのだ。

そこで当日2度目の訪問は喧嘩腰で出かけたのだった。
厚着していたために汗をかきメガネが曇り、用紙に記入するもメガネが曇り字が見えず、それさえ大使館の所為に思え、ますます焦ってしまい腹まで立ってきた。
何度も窓口に行ったり来たりするうち私を担当していてくれる女性が大変優しく物腰も丁重なのに気がついた。
その時から私の気持ちは落ち着きを取り戻し始めていた。
何がなんでもという気持ちは消え、と同時にどうやら申請できると分かりほっとしたのもある。

ビザのことを聞かれた時、古い何冊かのパスポートを入れている透明なバッグを取り出した。
窓口の女性が、あら全部お持ちなんですね。よろしかったら私が確認しましょうか?と。
彼女は素早く目を通し中の二番目に古いパスポート選び、ここに永久滞在の許可が記されていますよ。だから大丈夫ですね。とニコニコ。
私もホッとして、ここで私の武装は全部取れてしまった。
彼女は書類と戸籍抄本を手に、それでは最終確認を取って参りますので、もう一度お待ちください、時間はかかりませんから。
と、奥へ。

これでやっと申請完了。
緊張が解けてよろよろ椅子に戻り、リュックを置いてパスポートのバッグやノート、携帯電話、その他の書類をリュックのそれぞれの位置に入れ戻した。
ノートをリュックの二番目に大きなポケットに入れた時、そのポケットの中にもう一つチャックのついた小さなポケットがあることに気がついた。このポケットはリュックの前方から開くと気がつかない位置にある。その時は何故かリュックを後ろに向け開いていた。
だから気がつくことができた。
そのポケットを開き中のものを取り出した。
いや、掴んだ時にすでに感じるものがありドキッとしたのだった。
なんと出てきたのは1年半探し続けていたパスポート。

ウソ、ウソ、ウソでしょう!

大声で笑いたいほど嬉しかった。
絶対にどこかにあると信じて探し続けたものが出てきたのだから。
次の瞬間恥ずかしくなった。
窓口の女性になんと言おう。
申請は受理完了寸前なのだ。
結果正直に説明しキャンセルしてもらったウソみたいな話でした。
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