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2022年10月11日16:18

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自分の涙に自分が驚いた

午前9時は、もう当校する小学生の姿はない。
私は洗車をしていた。
突然大きな音が聞こえてきた。
人の声で、しかも小学生で低学年らしかった。
しだいに音が近づき駐車場の前で停まり、それは始まった。
男の子が学校に行きたくないと言い母親に大きな声で訴える。
私は開いてあった車のドアを「バタン」という音を立てて閉めた。
以前も、こういうことがあり大きな音を立てると「他人が見ている」ことを自覚し、それで興奮が収まったということがあったからだ。
だが事は収束の方向に進まなかった。
母親は、ひと声も発することなく学校に向かう。
少年は被っていたヘルメットを放り投げランドセルを下ろして前に投げた。
道路に仰向けに寝転がって母親を呼ぶ。
もう懇願であった。
子供が必死になって母親を呼ぶ声が静かな住宅街に響いた。
突然私の眼から涙があふれ出た。
登校したくない子供が駄々をこねている、ということは冷静に理解している。
が、児童を子猫や子犬のように感じている自分は小動物の助けのように感じた。
そこに近所の男性が現れ少年の所に行き何かを話している。
そのうちに母親が担任の先生らしい女性を連れてきた。
母親はそのまま帰宅していった。
女性がしばらく話すと少年はランドセルを背負いヘルメットをかぶって登校していった。
私は、ほっとして自宅に戻った。
妻に今の事を告げると窓から一部始終を見ていたと言う。
妻は子供にピアノを教えているので「ここまで来たのだから、もうあと少しだから頑張れ」と言うという。
翌日近所の男性に会ったので昨日は何を話していたのか聞いてみた。
「僕が帰宅したら少年がママを呼んでいたのでママの所に行こう」と言いました、という。
彼もこの子と年の近い男の子がいて、この小学校に通っている。
私は「焼きが回った」と感じた。
それが普通かもしれないが動画を見ていて、もらい泣きをすることが多くなった。
自分ならどうしただろうと考えた。
少年に「君は行きたくないのに母親が無理やり行かせるのかい。それじゃあ悪い母親だから警察を呼んで逮捕してもらおうか」とでも言ってみるかなと。
しかし今日日の子供だから「じゃあそうしてください」と言われたらどうしよう。

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