mixiユーザー(id:6400308)

2022年09月17日21:19

26 view

旧作

 シネロマン池袋で渡辺護監督79年作品「密写! 緊縛拷問」を観る。主人公の緊縛師は、病身の妻とともにお座敷ショーをしているが、妻の病状が悪化。雇い主の男に休ませるよう頼むが断られ、結果妻を死なせてしまう。
 妻の死の場面は、青みがかった照明で演出され、日野繭子さんと野上正義さんの好演で素晴らしい。
 6年後、妻の墓参りで帰って来た男は、雇い主の男が軍に入り、予備役憲兵として町を牛耳っているのを見る。そしてその情婦の妹の飲み屋の女将が、亡き妻に瓜二つであることに驚く。
 いかがわしい生き方をしてきた男が、「不景気になれば軍」と志願し、軍服を着ると威張り散らす。戦場に出ないため自分の足を撃ち、女将の夫の病身の画家を「国の役に立たない奴は生きる資格がない」と殴りつける。実に醜悪。
 その情婦も、邪魔になった夫を男に殺させる悪女。殺しの後興奮して死体に脇でセックスを始めるのは、冒頭の主人公夫婦の美しさと対照をなす。
 主人公が山東出兵に参加していた設定など、時代背景がきちんとしている。生産性のない人間に容赦がないのは、この映画製作時より今の方が切実。このころのような嫌な時代になって来たのか。
 余命いくばくもない夫は、「鬼気迫るものを描きたい」として、主人公に妻の緊縛を依頼する。SM物にはそれに至る説得力が必要だが、夫の命と引き換えに傑作を遺そうとする心情、そして女将が亡き妻に生き写しであることが、緊縛を断ってきた主人公踏み切らせたか。これは納得できる。
 悪人たちを成敗し、2人が旅立つハッピーエンドに驚く。野上さんの高倉健のような格好良さもいい。渡辺護監督の演出は最後まで緊張感が途絶えず、快作となった。
 「人妻 口いっぱいの欲望」は、鈴木ハルこと鈴木敬春監督89年作品。主人公の青年は、夜道で女性をはねる。衝動的に家に連れ帰り、意識を失った女性とセックスしてしまう。
 その時女性は、親の命令で好きな男と引き裂かれる映像が見えている。意識を取り戻した女性は、青年を恋人と思い込む。
 女性の記憶は、藁ぶき屋根に着物姿。しゃべり方も今の時代とは思えない。事故のショックで他者の記憶を自分のものと誤認する設定は面白い。話が見えない冒頭、記憶を取り戻すときの映像処理、最後のゲリラ撮影と見どころは多いのだが、女性の心情が見えず、青年の行動も奇妙。この状況を描くには説得力に欠けた。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年09月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 

最近の日記

もっと見る