丸顔、大きな目、長く引き伸ばされた身体を持つデフォルメされた女性像。一方で、写実的に女性を描いた作品もある。そして、デフォルメと写実の中間のような女性像もある。
興味深いのは、これらの表現が同時並行的に行われていることだ。画風が変遷していくのではなく、いくつかのスタイルを持っていて、それを対象に合わせて選んでいるという印象だ。画家本人にしか分からないことではあるが、その描き分けの基準を知りたいと思った。
展覧会では人物画の展示数が圧倒的に多かったが、個人的には建築物を描いた作品が秀逸だと感じた。
「コンコルド広場」は、白く輝く建物の外壁と整然と並んだ窓枠がインパクトあり。
「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ」は月明かりの下の教会が渋めの青系色でまとめられていて、ヴェネツィアの夜と海とを同時に表現しているのが素晴らしい。
「ヴェルサイユ宮殿の門」は門の格子が華奢で美しく、ほのかな詩情を感じる静かな作品。
花を描いた作品もステキだった。
特に「羽飾り帽の婦人」は、主役の羽飾り帽をかぶった裸婦よりも、床に置かれた花壺に活けられた花が美しかった。
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