北海道大学博物館の１階で目についたのは、戦前、日本領だった南樺太で樺太アイヌの民族誌研究を行ったポーランドの民族学者ブロニスワフ・ピウスツキの蝋管復元のコーナーである。
◎ピウスツキの蝋管
ピウスツキについては、以前、樺太紀行の連載で取り上げた（２０年１月２５日付日記：「樺太紀行（番外）：樺太に流刑され、アイヌの娘と結婚したポーランド人民族学者ブロニスワフ・ピウスツキと兄ユゼフ」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202001250000/を参照）。
１世紀以上前の樺太アイヌの音声を記録した蝋管の一部の複製が、北大にあるのは初めて知った（写真）。
ただ説明によると、ポーランドに保管されていた蝋管の劣化は著しく、復元できたのはほんの一部で、しかも肝心の樺太アイヌのものはなかったという。
失われた音声は、元に戻らない。まことに惜しいと思った。
◎巨大なケナガマンモスの復元模型
２階に上がって次に目を引いたのは、巨大なケナガマンモス像だ（写真）。足下の説明板によると、１９７１年にシベリア、サハ共和国のチレフチャフ川河畔で発見された約３万年前のケナガマンモスの復元模型である。それは見上げるほど大きく、印象として以前、ロサンゼルスのページ博物館で見たコロンビアマンモスの骨格模型（写真）と遜色ない。
僕はマンモスの復元模型は、５年前に野幌の北海道博物館でナウマンゾウと対峙する形の骨格模型を観たことがあるが、それよりは大きそうだ。
◎日露両国の国境線の標石レプリカ
通路を挟んで、その対面に珍しい物を見つけた。
４年前に南樺太ユジノサハリンスクの郷土博物館で観た日露国境標石第３号の模型である（写真）。かつて日本は帝政ロシアとの日露戦争に勝って、樺太南半分だけ割譲された（その代わり樺太全土を占領していたのに、北半分はロシアに返還した）。その後、北緯５０度線で国境画定した際の標石のレプリカである。
１９３８年に、俳優の岡田嘉子と演出家の杉本良吉が標石３号の置かれた国境線を越えてソ連に亡命した（詳しくは、２０年２月２７日付日記：「国境を越えた偽りの恋の逃避行の悲劇：女優岡田嘉子と日本共産党員の杉本良吉の樺太国境越え」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202002270000/を参照）。これに懲りた政府は、以後、国境線近くへの立ち入りを禁止した。
◎ユジノサハリンスクの郷土博物館で観た物のレプリカ
ただ国境線見たさの観光客の要望が多かったので、このレプリカを作り、当時の樺太庁博物館の前庭に設置したという。僕は、それをユジノサハリンスクの郷土博物館で観たのだ（写真）。
このレプリカは、そのまたレプリカであるわけだ。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202206230000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
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