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2022年05月12日22:54

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【展覧会】ボテロ展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

フェルナンド・ボテロは1932年コロンビア生まれ。90歳となった現在も精力的に活動中とのこと。現代アートは観賞対象外だが、展覧会のチラシを眺めているうちに徐々に興味が出てきた。良く言えば「ふくよか」だが、悪く言えば「デブ」。しかし、そのぽっちゃりしたフィギュアは何とも言えず温かく、大きな包容力があるように感じられた。

対象を極端に大きく、または小さく描く方法は、シュルレアリスム絵画のようだ。
明るい色使いや、南米らしいモチーフを見ていると、メキシコの女流画家フリーダ・カーロの作品を思い出す。だが、ボテロの絵はとても穏やかで、カーロのような激情は感じられない。
大らかで素朴な人物造形は過去に世田谷美術館で鑑賞した素朴派の画家カミーユ・ボンボワの作品が印象に残っているが、ボンボワの絵が妙にエロティックなのに対し、ボテロの作品は理性的。
大きめのカンヴァスの隅々まで丁寧に色が塗りこまれ、筆致や色彩が抑制されているからだろうか、ほのぼの、カワイイ、ほほえましいという以上に、知的な雰囲気。コロンビアの闇をさらっと描き、あとでじわじわと「あの絵、怖かったな・・・」と思わせるのもボテロの作戦だろう。
「思いがけず素晴らしいものを見てしまった!」というのが、展覧会の素直な感想だ。

特に印象深かった作品は以下のとおり。

「オレンジ」:
ビタミンカラーにあふれる作品で、見ているだけで元気が出てくる。オレンジがジューシーで、香りが漂ってきそう。

「黄色の花」「青の花」「赤の花」:
花瓶に花がギュッと詰め込まれている、かわいらしくて大きな絵。1点だけでも華やかで癒されるが、3点並ぶとさらに迫力と魅力がアップ!同じ絵が色違いで並んでいるのではなく、それぞれ違う花が描き込まれているところもステキ。3点が並んでいる写真を撮りたかったのに、大きすぎてカメラに収まらず、残念。

「クラーナハにならって」:
ルカス・クラーナハの名画「ホロフェルネスの首を持つユディト」がベースになっている。子どもがあっけらかんと、力加減が分からずにペットの小動物を絞め殺してしまった瞬間を見たような気がした。子どもの無邪気ゆえの残酷さを描いたものなのかどうかは分からないが、本展覧会で最も衝撃的だった作品。
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