映画「フロントランナー」☆

2022年5月4日BS録画鑑賞

実話ベースのため、正直映画としての盛り上がりは全然無かったです。
ただ、トランプ政権以降観ることに意味がある作品で、この時ゲイリー・ハート候補者が訴えた警鐘を体験している我々は未来人と言えます。

物語は、若くて意気込みも能力もある大統領候補がフロントランナーを降りるまでの話です。

この映画で語られる結論は、その後の大統領選挙の大きな指針となり、政策論争の優劣よりスキャンダルの無い候補、見栄えのする候補が好まれることになりました。
しかしながら、この映画で語られる内容は現代の感覚で観るとやはり間抜けな話で、選挙期間中に女を自宅に連れ込み地方遊説をキャンセルするのはフロントランナーに立っていたとは言え油断だったとしか思えないです。

なお、ゲイリー・ハートの言い分だと大統領選挙は神聖なモノで候補者の公人としての資質を有権者が判断する場であり、私人としての振る舞いは有権者の判断材料として関係無いものだと言っていました。

この映画のクライマックスは、匿名の投稿により選挙期間よりずっと前にゲイリー・ハートが不倫していた証拠写真をワシントンポストが手に入れるところで、結局一夜の過ちとかではなく常習的に性に奔放な毎日を送っていたことが判明した瞬間でした。

娘が報道陣に傷つけられたとか、奥さんとの関係修復等私的な理由でフロントランナーを降りることになった時点で、前述の持論を自ら否定することでこの映画は幕を閉じるところは構成として上手いなと感じました。

アメリカの選挙の仕組みの汚い部分を知る意味でお勧めです。