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2021年11月20日21:57

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【展覧会】印象派・光の系譜展(三菱一号館美術館)

レッサー・ユリィという画家を初めて知った。今回の展覧会には4点のユリィの作品が出ていて、それらがいずれも印象深かった。

「風景」:日没の情景だろうか。明るくない水面の描写が秀逸だ。周囲が夕闇に溶けていく時間帯のどことなく寂しい気持ち、夜は静寂に包まれるであろう予感、ノスタルジックで、どことなく不穏。

「冬のベルリン」:縦のラインがものすごくオシャレで、冷たいほどに洗練されている。血が通っていないわけではないのだけれど、この冷たさは何なのだろう。

「夜のポツダム広場」:雨に煙る街明かりが何とも言えずキレイで寒々しい。雨が降っている時の繁華街は、まさしくこの感じ。

「赤い絨毯」:ドアの隙間からふと部屋の中を覗き込んでしまったような作品。赤い絨毯と純白の布は華やかに見えるも、黒い服を着て白い布を縫う女性の背中からは華やかではない物語が出てきそうな気がする。


イスラエル博物館所蔵作品による印象派展。大半が日本初公開なのだが、印象派の画家の作品は目にする機会が多いからか、ものすごくインパクトがある展覧会というわけではない。だが、作品の質が揃っていて、見応えがあった。
ユリィ以外で面白かった作品を以下にメモしておく。

「川の湾曲部」(ポール・セザンヌ):セザンヌの初期の作品。この作品自体は「絵具が厚くて色が濃いな〜」程度の印象なのだが、この絵と比較すると、後年のセザンヌの絵がいかに透明感と空気感に満ちているかを思い知らされる。

「麦畑とポピー」「プロヴァンスの収穫期」(フィンセント・ファン・ゴッホ):この2つは並べて展示されることで魅力が増すように思えた。「麦畑〜」は鋭利な縦線、粗い筆致、赤と緑の補色。「プロヴァンス〜」は緩やかな横線、丁寧な筆致、黄と青の補色。

「レストランゲの肖像」(ピエール=オーギュスト・ルノワール):モデルの優しい微笑みに、ルノワールとの温かい友情がうかがえる。美術館を出た後で、じわじわと好感度が上がってきた作品。

清楚な「花咲くリンゴの木」(シャルル=フランソワ・ドービニー)、華やかな香りとぽってりした質感が伝わる「花瓶にいけられた薔薇」(ピエール=オーギュスト・ルノワール)も、絵の前を立ち去りがたかった。
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