アキさんの家の玄関は広く、右側に書斎、左にダイニング、その隣がリビング。
ダイニングの奥がキッチン、それぞれがゆったりと広く整頓され、掃除が行き届いている。
今日はアキさんの家族の写真が見せてもらえるとワクワクしながら入った。
お父さんも妹さんたちも美男美女と聞いている。
けれど美女の妹さん二人は3回結婚して3回ともダメだったそうな。
そこでアキさんは美人は男運が悪いのかも知れないという思いに至ったらしい。
すぐ下の妹さんの写真は花嫁姿の写真だったが、歌舞伎役者の女形のような美しさ。
その下の妹さんは今日風な、親しみのあるモデルっぽい風貌。
この方は3回ともすぐ上のお姉さんに紹介された男性と結婚。
そして失敗。
なのでアキさんは自分の娘に、相手だけは絶対に自分で確信の持てる人を選びなさいと伝えたんだそうな。
その娘さんは今良きパートナーに恵まれ住んでいるその場所が私の近所らしい。
ランチが用意された。
チキンの炊き込めご飯、きゅうりの一夜漬け、かぼちゃの煮物、筍と白滝の煮物。
全てが完璧な味付け。
美味しい。
いいなあ、日本食は美味しいだけじゃ無い健康的でもある。
どうやらアキさんは整理整頓が上手く料理も上手で働き者のようだ。
私の継母がそうだった。
継母は朝の8時には洗濯掃除を済ませている人だった。
家の中はいつも綺麗、庭も綺麗に片付いていて、ちょうどアキさんの家と庭のように。
さてその美味しいランチはとても素朴な絣の布のマットの上に並べられていた。
私の視線に気づいたアキさんは
あ、これね、ウメさんの着物だったの。
私の祖母よ。
ウメさんがね、もうボロボロだから雑巾にでもしなさいと。
とても素敵だからこんな風にマットにして使ってるのよ。
それは白い小さな斑点があるだけのシンプルなだけに粋でもある絣だった。
そのウメさんは良い家柄のお嬢さんだったらしい。
このお嬢さんがアキさんのお祖父さんと恋に落ちた。
お祖父さんがまたイケメンだったのだそうだ。
しかし大工との恋は良家の娘には許されなかった。
そこで恋心を抑えきれなかった二人は駆け落ちとあいなった。
そして生まれたのがアキさんのお父さん。
このお父さんもお祖父さんに似てイケメン。
ついにお父さんの写真登場!
お、おお、おお、おー
イケメンだ。
七不思議の大赤見さんによく似ている。
やっぱりねー、年取ったとはいえモテそうな容貌。
ついにみれたイケメンのお父さんの写真、そうか、この方が常に妻以外の女性と関係を持ちながら一生を過ごした人なんだ。
まだまだいっぱい聴きたいことがあるけれど、その日はここまででお暇した。
大丈夫だからとお断りしたのに、途中まで送って下さったアキさん、こんなところも私の継母と似ている。
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