ついに地元のキネマ旬報シアターでジャン=ポール・ベルモンド特集を上映。毎週通う。
「リオの男」はフィリップ・ド・ブロカ監督63年作品。アマゾンの秘宝を巡る争いで、主人公ベルモンドの恋人フランソワーズ・ドルレアックが誘拐される。それを目撃したベルモンドは、映画の終わりまでひたすら追いかける。盗んだバイクで走りだし、他人に成りすまして飛行機に乗ると、あっという間にパリからリオデジャネイロへ。
風光明媚なリオから人工都市ブラジリアへ。遷都から3年目だが、まだ造成中の場所が多い。これこそアクションにぴったり。
広い土地ではカーチェイス、建設中のビルでは足場を上下する。この映画ではその場にあるものを使ったアクションが主。銃を手にすることもあるが、使わないまま失われる。
ジャッキーチェンもベルモンドのファンであることを公言しているし、「インディ・ジョーンズ」への影響も見える。スピルバーグも参考にしたのだろう。
ベルモンドを振り回すドルレアックのエキセントリックなヒロインもいい。コメディエンヌとしては妹以上ではないか。若くして亡くなったのが惜しまれる。ドルレアックの父親の友人がアドルフォ・チェリだったのが意外。これが日本初登場ではないか。
「カトマンズの男」はド・ブロカとベルモンドコンビの65年作品。ベルモンドは人生に飽いた富豪の青年。婚約者一家との香港旅行で自殺を試みるが失敗。後見人はベルモンドに高額の保険をかけて、暗殺者を雇う。ベルモンドは映画の終わりまでひたすら逃げる。
追跡者から逃亡者に変わったが、映画の面白さは変わらず。ここでもビルの足場を上下するアクションに、水上の追跡、クライマックスは飛行機から飛行機へ飛び移る。ベッドに乗って坂を下るアクションは、ジャッキー・チェンだけでなく、香港映画に影響を与えたのではないか。
今回はベルモンドが機関銃を撃つが、格好の良さを見せるだけで、それによって状況が変化するわけではない。やはり体を使ったアクションだ。
意外なのはベルモンドを助けるストリッパー役のウルスラ・アンドレス。身体能力が高いのか、ベルモンドとともにアクションをこなす。さすが初代ボンドガール。浜辺で白い水着になるのは、「007は殺しの番号」のパロディか。
今回はヒーローとヒロインだけでなく、脇も活躍。ベルモンドの召使いで、冒険に最後まで付き合うジャン・ロシュフォールは儲け役。ベルモンドとともに崖を登っているのに驚く。ドタバタを繰り返す探偵コンビもいい。皮肉なラストも意外。
この2本には映画原初の楽しさがある。ベルモンドはバスター・キートンの後継者なのだろう。
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