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2021年10月01日20:24

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それでそれで?4

最初に書くべきだったが、アキさんは素朴で実直だなあと強烈な印象を受けたことがある。
あの日アキさんが入ってきてコートを脱ぎながら、そのまま孫娘とボーイフレンドがいるキッチンに入って大声で挨拶しているのが聞こえた。
孫娘はジャマイカ、イギリス、日本の血が混じった見た目は黒人風。
ボーイフレンドはイギリスとナイジェリアの混血で、見た目はなんとなく黒人風。
二人とも日本語はできない。

アキさんはその二人に
「今日は、アキです。お邪魔します。よろしく。」
と日本語で大声で腰をかがめて挨拶している。
二人はキョトンとして反応しない。
アキさんは再び日本語で挨拶を繰り返していた。
慌てて飛び込んでアキさんを二人に紹介すると、初めて二人は微笑んでホッとした様子。
アキさんて実直なんだなあ。

「英語が苦手なもんだから」とアキさん。
えっとびっくりする。
「だって我が家は亭主も日本人だし、一家で日本人だし、ね。」
「そうなんだ、実は私もなの。」
今度はアキさんがえっなんでと言う顔。
「確かに美容専門の通訳はしていたけど、あれは技術が解ればできるのよ。ただし話題が建築、芸術、政治その他にそれた時は大変だったけど。」
TV見ていても半分くらいしかわからないし、英語を読もうとすると知らない単語が多すぎるし。

ご主人は少林寺拳法をやっている日本人男性で、馴れ初めはロンドン暮らしが始まって間も無くのことだったらしい。
なんでも立美さんと一緒にノッティングヒルに下宿していたのが、下宿人は交代で共同の場所を掃除する義務があったとか。
二人とも働き者で掃除が上手い。
そこに目をつけた大家があっちもこっちもと掃除する場所を増やして行ったのだそうな。
そこで引っ越そうよ、と言う事になった。
働き者で正直で従順な二人も流石にうんざりだったんだろう。

同じ通りの数軒先に空き部屋があると言うので見に行った。
そこに住んでいたのが今の旦那さんだった。
その旦那さんにはまだお会いしたことがない。

そのうち遊びに来てと誘われたが、引っ込み思案が邪魔してお断りしてしまったのを今は後悔している。



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