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2021年08月29日12:54

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映画『アーヤと魔女』作品レビュー〜大人あやつり世界を変える

映画『アーヤと魔女』作品レビュー〜大人あやつり世界を変える

 本作はスタジオジブリの劇場用映画では史上初めて劇場公開に先んじてテレビ放送された作品です。また、放送局が日本テレビ以外(NHK総合テレビジョン)であるのも史上初です。
 さらにスタジオジブリ初のフル3DCGアニメーション映画となった宮崎吾朗監督による本作は、実に異色づくめでした。何と言ってもヒロインのキャラクターがこれまでのジブリ作品にありがちだった「まっすぐな優等生」ではなく、変顔や憎たらしい表情さえしてみせるのです。でもそれが小気味よく感じられ、屈託のない伸びやかさに魅了されてしまいました。
 吾朗監督は、父・宮崎駿監督による「ハウルの動く城」の原作者、英国の作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの児童文学を繊細に、でもおおらかに映像化しました。
  
 アーヤ(声・平澤宏々路)は、赤ん坊の時に母親によって孤児院「子どもの家」に置き去りにされます。捨てられたのではなく、13人の魔女との闘いが片付いたら必ず引き取りに来るというメッセージが添えられていました。

 10年後、10歳となっていたアーヤは、ある日、魔女のベラ(同・寺島しのぶ)と、悪魔を手下に従える小説家・マンドレーク (同・豊川悦司)に引き取られます。
 2人の家で助手として働き始めたアーヤは、魔法を学んで楽しく暮らそうと模索するのでした。
 孤児となっていたアーヤは、決して「かわいそうな女の子」としては描かれません。本人もちっともそんなことは思いも寄らない日々を過ごしていたのです。例えば、ベラに無条件で働くよう脅されると。「おばさんが私に魔法を教えてくれるかわりに、私かおばさんの助手になったげる」と言い返すのです。もし理不尽な扱いをされたら、きっちりいたずらで対抗したり、おだてまくって取り入り、有利な条件を引きだそうとしたりするのです。まだ子供なのに、なんというあざとさでしょうか。いまテレビ番組でも「あざとい女」が注目されています。「あざとさ」がピンとこない人でも、アーヤの仕草を見ていたら、ああこういう駆け引き上手なことなのかと納得されることでしょう。
 母親が付けたアーヤの本当の名前は「アヤツル」でした。名前通り、小さな体で大人と渡り合い、「あやつろう」とする姿はたくましく、しかも魅力的に映りました。
 
 物語を彩る音楽は、1970年代の英国ロック風。この音楽にもアーヤの出生の秘密が隠されていました。そして次第に気づく、アーヤの芯の強さは、過去のジブリ作品のヒロインにも通じるものでした。
 また一筋縄ではいかない気配を漂わせたベラや、無愛想なマンドレークも、アーヤに振り回された時に見せる人間くさい反応や彼らが若い頃バンドを組んでいたという過去が明かされることで、次第に愛すべき存在に見えてきました。ベラやマンドレークは意外なことでアーヤとつながっていたのです。
 
 滑らかなフル3DCGで描かれていても、登場人物はぬくもりに満ちていました。
 細部にいたるまで描き込まれた、ジブリ作品ならではの映像も楽しかったです。雪道を走る車のタイヤにしっかりまかれたチェーン。裏庭にびっしりと植えられた薬草の数々。ともすれば見逃してしまいそうだが、妥協のないリアリティーは映像に迫力を与え、観客を自然にひきつけていくのでした。
 アーヤは魔女の下で働きつつ、持ち前のしたたかさと明るさで自分が生きる世界を楽しく、心地よく変えていくと言う今回のお話し。周囲の大人も、まんざらではなさそうです。無理もない。眉間にしわを寄せてにらみつける姿さえ魅力的に感じてしまいます。これって、もしかしたら既にアーヤに「あやつられて」いるのかもしれません(^^ゞ。
 そしてやはりジブリなところは魔女と可愛い黒猫の取り合わせですね。ただ最後はあそこで終わりにするのでなく。もう少し起承転結をスッキリさせて欲しかったです。
 まぁでも、大人と子どもの垣根を取り去り、誰でも笑顔にしてくれる作品でした。

公式サイト
https://www.aya-and-the-witch.jp/




“魔女・魔法使い”キャラといえば? 3位「このすば」めぐみん&「あんスタ」逆先夏目、2位「魔女の宅急便」キキ…一人前から修行中まで集結♪
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=50&from=diary&id=6644451
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