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2021年08月14日21:52

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映画「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」作品レビュー

映画「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」作品レビュー

 これはもう特筆すべき快挙です。
 現在ディズニー傘下となったスタジオの人気SFサーガ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズを手掛けるジェームズ・ガン監督が、今度はワーナーのDCユニバースで新作を放ったのです。ライバルとして比較されるふたつの企画の両方で、監督を務めたのはガンが初めてとなりました。
 
 しかも完全に本領発揮しています。そもそも低予算のキワモノ路線で好事家の支持を得る映画会社、トロマ出身のジェームズ・ガンは、大作でもその流儀を崩さず、毒の効いた表現を無邪気なノリで繰り出すアクションとジョークの連続パンチ。
 それは特濃ソースのジャンクフードや、舌がぴりぴりするような刺激の強いお菓子を思わせる“ヤバい美味しさ”といっていいでしょうか。MCUのヒーロー映画がポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)との距離を意識した優等生志向を強めているとしたら、こちらはDCきっての極悪キャラばかりを集め、囚人部隊が活躍する1967年の名作「特攻大作戦」の作劇を下敷きに、理屈抜きの楽しさへと振り切れています。しかも前作まではとにかく極悪キャラが好き勝手に暴れ回る、少々お馬鹿っぽさを感じましたが、本作では「ガーディアンズ」同様にチームワークの良さが際立ちました。

 米国政府の極秘指令により、人類最大の脅威に立ち向かうことになる“悪党ヒーロー”14人の中でも、特に目立つのはハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)だ。シスターフッド映画の快作「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」(キャシー・ヤン監督)での達成を踏まえ、ガンは彼女の勇猛の美をさらに飛躍させてくれました。
 ルイ・プリマが歌う「ジャスト・ア・ジゴロ」に乗せて、ハーレイが大勢の敵を殺しまくるシーンでは、血の代わりに花びらや小鳥のアニメーションが流麗にあふれ出てくるのです。この描写、まるでアクション版「メリー・ポピンズ」のようでした。
 
 時にホラーやスプラッターばりの残酷描写が炸裂し、眉をひそめる人もいるかもしれません。ジェームズ・ガンはあくまで陽気にド派手に、フィクションならではの過激な愉楽を追求したのです。“カイジュウ(怪獣)”が大暴れするクライマックスでは、誰もがその馬鹿馬鹿しいパワーに降参し、笑いながら拍手するしかないでしょう。
 さすがのハーレイたちも手を焼いた“カイジュウ(怪獣)”との最終決戦でしたが、このモンスターを最後にやっつけるのは、意外な小さな存在だったのですね。世界中から嫌われるこの小さな存在が、市民を救うヒーローとなるのは、何とも喝采を送りたくなりました。
 また今回の極秘指令の目的自体が、大国のエゴだったとわかったとき、極悪人チームの中で、陰謀の実態を明かにしようという人と、指示通り隠蔽しなければならないと考える人の内部対立が激化しました。この作品、おバカな娯楽アクションに見えて、その実けっこう政治的なメッセージを裏に隠し持っている感じがしました。

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/thesuicidesquad/



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