さらに最北の動物園である旭山動物園らしい動物に、北方系のユキヒョウとアムールヒョウも、見物だ。
◎野生より動物園飼育の方が個体数が多いアムールヒョウ
アムールヒョウ（写真）は、世界最北のヒョウであり、やはり寒冷地に棲むだけに（動物生態学上の原則である「ベルクマンの法則」のとおり）ヒョウの中で最も大型の亜種である。
ロシア沿海地方から中国東北地方、そして朝鮮半島に生息するというが、一時、３０頭程度まで激減したから、朝鮮半島では絶滅したかと思われる（北朝鮮にはまだ生き残っている可能性もある）。
手篤い保護で、現在では野生で１００頭程度に回復したとされているが、遺伝的多様性を著しく欠くレベルであり、通常なら絶滅を危惧されるが、幸いにも世界中の動物園で野生個体を上回る２５０頭前後も飼育されている。
ロシアでは、これら動物園飼育のアムールヒョウを野生に戻す試みも行われているという。成功すれば、少しでも遺伝的多様性を高められるに違いない。
現代の動物園のこれが１つの大きな役割だ。
◎アムールトラとの競合も不利
アムールヒョウがここまで個体数を減らしたのは、アムールトラと同じ事情、生息域が失われたからだろう。
それに生息域は、アムールトラと重なる。群集生態学では、同じニッチ（生態的地位）にある複数の種は、安定的に共存できないという原則＝競争排除原則（Competitive exclusion principle）がある。獲物を捕るにも、アムールトラとの競争ではどうしても不利である。
目の前のアムールヒョウは、残念ながら檻の中だ。野生の精悍さはなく、時にはノンビリとした姿も見せる。
◎急峻な山岳部で躍動するユキヒョウ、檻の中では所在なげにウロウロ
もう１種、ここにはヒョウの仲間がいる。中央アジアからヒマラヤにかけての山岳部に棲むユキヒョウだ（写真）。
ユキヒョウは、以前に何度かＮＨＫ−ＢＳプレミアムで観ている（１３年２月２３日付日記：「モンゴル、アルタイ山脈のユキヒョウと牧畜民の関係が教える生態系」を参照）。
体格は、アムールヒョウより一回り小さい。毛並みは、冬の山岳部の雪の中に溶け込むように、地肌は白い。しかしそこはヒョウで、トレードマークの豹柄はちゃんと付いている。
目の前のユキヒョウも、檻の中では所在なさそうにウロウロしている。しかし野生では、雪の絶壁もものともせずに駆け抜け、獲物を狩る。
前回のアムールトラ、そして今回のアムールヒョウにユキヒョウ、とこの３種を観られたことは大きな収穫だった。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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