あのアクションスターのジャッキーが帰ってきました！そう叫びたくなるような惚れ惚れむするアクション作品です。
近年ではアクションスターとして第一線から退くことを示唆していたジャッキー。それを裏付けるように近年の作品ではめっきりアクションシーンがなくなっていました。2019年に公開された『ナイト・オブ・シャドー 魔法拳』では、主演はジャッキーであるものの、肝心のアクションは全てCG合成であったことにはも腹が立ちました。「ジャッキーにしか実現しえない最新の《拳映画》がパワーアップして完全復活！」という触れ込みは大嘘つきだったのです。 作品ごとに命がけで取り組んできたジャッキーがなんであんな安直な作品に出演するのだろうと思いました。
ところが本作では、汚名挽回。なんと撮影時６５歳（現在６７歳）で挑んだ急流の水上バイクシーンで４５秒間姿を消し、溺死寸前になったのです。一部始終はエンディングでお決まりのＮＧ集にゆずります。でも一歩間違えば、滝壺転落のギリギリで撮られた、この危険なシーンだけでも、本作にかけるジャッキーの命懸けの意気込みが伝わってきました。全編通じアクションがとにかくゴージャスな作品です。
これまで一匹オオカミを演じることが多かったジャッキーでしたが、本作では軍隊級の破壊力を持つ国際特殊護衛部隊のボスを演じます。トン・ウンテン（ジャッキー・チェン）は、世界各国の中国人を顧客に持つ民間組織「ヴァンガード」（中国語：急先鋒、本部・ロンドン）の創設者であり、最高司令官を務めているのでした。
この設定での一番の見せ場は組織の若手のむ活躍するところです。ジャッキーの個人プレイばかりでなく、チーム全員で立ち向かうという展開を見せるところがジャッキーの新機軸でしょう。
引退発言に関連して2000年代に入ってからは、若いスターの発掘やプロデュースに積極的に進出しており、「次世代を育てることに力を入れていく」ことを明言しているジャッキーだけに本人の意向も汲んだ上の設定ではないでしょうか。
物語はイギリス・ロンドンの中華街で開催された旧正月の祝賀イベントで、ヴァンガードの顧客である中国人実業家チョン・クォックラップ（ジャクソン・ルー）夫妻が誘拐されるところからはじまります。
チョンのビジネスパートナーであったマシムは、中東のテロリスト集団「復讐者」のリーダーであることを隠していました。このことに気づいたチョンはスコットランドヤードに通報し、マシムはアメリカ軍により殺害されたのです。父の殺害に激怒したマシムの息子・オマル（エヤド・ホーラーニ）は、傭兵組織「北極狼」にチョンの誘拐を命じたのででした。
チョンはヴァンガードによって救出されましたが、チョンの娘で動物愛護活動家のファリダ（シュ・ルオハン）がオマル一味に狙われていることが判明します。トンとヴァンガードのメンバーたちはファリダを保護するためにアフリカに向いますが、今度はヴァンガードのメンバー・ロイ（ヤン・ヤン）とファリダがオマル一味に誘拐されてしまうことになってしまうのです。
ところで、誘拐の目的は復讐ばかりではありませんでした。実はチョンはマシムが残した莫大な財産の在処を知っていたのです。オマルはチョンが父親のマシムから預かった財産を要求。チョンはファリダと引き換えに自らオマルの人質となり、マシムの財産が保管されているドバイに向かいました。
ヴァンガードたちもオマル一味と戦うために、チョンとともにドバイにあるオマルのアジトに向かいます。
けれどもマシムの財産は全て黄金に換えられ、スーパーカーや高級SUVのボディに偽装されていました。黄金の車体を持つハマー・H2、ランボルギーニ・ウラカン、アウディ・R8などを手に入れ、ドバイを暴走するオマル一味。ドバイ警察と協力し、ヴァンガードの最後の戦闘が始まります。
とにかく本当にドバイの街を疾走する黄金のスーパーカーによるカーチェイスシーンが凄い映像でした。クラッシュさせるのがもったいなかったです！
香港映画から盟友のスタンリー・トン監督は、ザンビア、インド、ドバイ、台湾で派手なロケを仕掛け、ライオンとの格闘から水上戦、銃撃戦、カーチェイスとジャッキーの老骨にむち打つシーンを繰り出していきます。
「俺たちキャプテン・アメリカではなくキャプテン・チャイナだ」と言わせ、超高層ビルの壁面にロケット打ち上げ画像を映すシーンなどは、中国の国威発揚！？かと思えました(^^ゞ
それより気になるのは巧みなスパイ技術のシーン。００７やＣＩＡも敵ではないと思わせるリアリティーを感じさせてくれました。チョンの娘を演じる若手のシュ・ルオハンは、上戸彩にも似た超絶美人で今後が楽しみですね。
ところで要人警護がテーマの本作。BGたちが集まって意思統一するところでは、キムタクののように腕時計を見せ合って『誤差なし』と確認するシーンはありませんでした(^^ゞ
（2021年5月7日日本公開）
公式サイト
https://projectv.jp/
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