またしても空箱=SPAC(特別買収目的会社)がらみの不祥事で、アメリカの株式市場が動揺している。今度は、新興EVメーカーの予約台数水増し疑惑で、ここに出資するGM(写真=デトロイトの本社)も巻き込まれている。
◎ニコラに続いて
GMと言えば、以前にもやはり上場SPACのニコラの疑惑で資本・業務提携が頓挫した古傷を持つ(SPACとニコラについては21年3月16日付日記:「アメリカで大人気のIPO「空箱」=SPAC;SECが注意喚起するほどヤバい投資」を参照)。ニコラは、新興燃料電池トラックメーカーで、その公開映像が捏造と投資会社に暴露された会社だ。
今回は、やはりGMが出資するEVメーカー「ローズタウン・モーターズ」(写真=本社工場と製品のEVピックアップトラック)で、予約台数水増しを暴露したのも、ニコラの場合と同じ「ヒンデンブルグ・リサーチ」という投資会社だ。
SPAC、電動自動車メーカー、GM、ヒンデンブルグ・リサーチ、とケースは変わっても、配役は全く同じ。GMは、またしても不名誉な役回りで、電動自動車という時流に乗る詐欺的メーカーに脚をすくわれた。
◎予約注文はほとんどがウソ?
それだけ電動自動車は、アピール力が強い半面、実態の乏しい会社が多いということだろう。ちなみにEVのテスラは、今年1月下旬日には、880ドル余をつけて、1年間で株価は10倍になった!
だから上場SPACがそれに飛びつき、吸収合併してニコラやローズタウンが上場企業に変貌する、という胡散臭さがつきまとう。
ヒンデンブルグ・リサーチの暴露したのは、ローズタウンが1月に10万台超と発表した予約台数が全くの水増しだったという事実だ。同社は、この暴露と同時にローズタウンに空売りを仕掛けたことも公表した。ニコラと、全く同じだ。
ヒンデンブルグ・リサーチによると、ローズタウンが1万4000台のEVを大量受注したという発注先の会社は、テキサス州の小さなアパートを拠点とし、車両も全く保有していないペーパー会社。さらに1000台を予約注文したという新興企業のオーナーは、実際に車両を購入する意思はなく、予約はただの付き合いだと証言したという。
こうしたことから、ローズタウンの公表した10万台超の予約の大半は架空のもの、水増しだったのでは、と見られるという。
◎日本に現れていないのが救い
アメリカでも、テスラの株価10倍化とEVの売上増に刺激されて、2匹目のドジョウを狙う新興電動自動車メーカーが雨後の竹の子のように登場している。
しかし先に暴露されたニコラや今回のローズタウンのように、実態の乏しいメーカーが少なくないことが、明らかになった。
日本では、今のところこのような詐欺的電動自動車メーカーは現れていないが、もう1つのEV王国であるスターリニスト中国でも、やはり実体のないEVメーカーがこのところ相次いで破綻している。
EV、電動自動車とは、よほど人を引きつける魅力があるようだ。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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