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2021年03月18日13:18

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映画『すくってごらん』作品レビュー(2021年3月12日公開)

映画『すくってごらん』作品レビュー(2021年3月12日公開)
https://sukuttegoran.com/

 銀行の東京本店から奈良県大和郡山市にある支店に左遷させられる形で転勤した元エリート銀行員が、金魚すくいとそれを取り巻く人々との出会いを通じて成長していく姿を描いた作品です。
 原作は、女性向け漫画雑誌『BE・LOVE』にて連載された大谷紀子による同名の漫画作品。

 尾上松也初主演作品ということで、期待して見に行きました。ところが予想と違うゆるーい内容でびっくり(@_@)!あの松也が「顔芸」全開にして、笑いをとりにいくはっちゃけ演技を見せるなんて、キャラ変に驚きました。ふわふわした感じで作品をかき回してもスベらず締めたところに納まるのは、歌舞伎役者ならでは。さすが地に足が着いている演じ方だなとは思いましたけど。

 とにかく本作の演出は異質なもの。たとえば、長編でもないのに設けられている休憩時間を挟み前半は、台詞に合わせたナレーションと巨大な文字が画面に浮かぶ過剰説明なものでした。今の登場人物の心情をいちいちナレーションで語りかけてくるのでとてもうざったく感じたのです。ヒロインと主人公の恋心も中途半端なまま、もうすぐエンドですとの予告クレジットのとおり、伏線を回収しないまま、強制終了してしまいました(^^ゞ
 影の主人公でもある金魚や金魚すくいについての考察や葛藤がもう少しあったら、遊び心がもっと華やいだのではないでしょうか。
 
 物語は、大手メガバンクのエリート行員、香芝誠(尾上松也)は上司への失言で本店から田舎の支店に左遷されて、田舎の何もないところで立ち往生しているところから始まります。そんな香芝に声をかけて、下宿先のある街まで送り届けたのが、金魚問屋の店長をしている王寺昇(柿澤勇人)でした。
 
 絶望感たっぷりの香芝だったが、金魚すくいの店「紅燈屋」を営む生駒吉乃(百田夏菜子)に出会い、恋心を抱きます。でも、吉乃は追うと金魚のようにすいすいと逃げてしまうのでした。吉乃には秘めた思いを寄せる男がいたのです。
 
 ある日下宿先の近くでピアノの軽快な演奏を耳にした香芝は、その音色に引き寄せられるように古い倉庫のなかに分け入っていきます。そこにはピアノが置かれていて、吉乃が見事に弾きこなしていたのでした。吉乃の演奏に聴き惚れてしまった香芝は、こんな素晴らしい演奏を、街の人達にも聞かせてあげたいとと提案します。けれども吉乃からは、自分がピアノを演奏することを秘密にしておいてと香芝に伝えるのでした。
 
 やがて吉乃への恋心を押さえることができなくなった香芝は、告白するしようとするもののできずに、なぜかお祭りの日に、ピアノ演奏を披露して欲しいと告白するかのようにせがむのでした。それをやんわり断った吉乃に、香芝はだったら金魚すくいのチャンピオンだった王寺昇と お祭りの金魚すくいで対決をして、昇に勝ったら演奏してくださいとと勝手に決め付けてしまうのでした。実はいつも吉乃は昇と親しげに会話しており、香芝は昇に対して嫉妬していたのです。
 果たして金魚すくいの全く素人である香芝が、どうやってチャンピオンの昇に立ち向かっていくのか。物語上そんなに意味はないけど、吉乃はピアノを披露するのか、金魚は世界をすくうのか(^^ゞ詳しくは劇場でご覧ください。
 
 本作の特徴は、ミュージカルとミュージックビデオを絡み合わせたような奔放さにあります。セリフと地続きのように歌が挿入されているので、ミュージカル特有のわざとらしさを感じることなく登場人物の心情が伝わってくるものの、挿入歌シーンが多いので、違和感は感じました。それに小高い丘の上から、夜景を見下ろしながら主人公が歌い上げるシーンは、『ラ・ラ・ランド』の序盤の名シーンをパクっているようにしか見えなかったのです。
 
 それでも金魚の赤を基調にした色彩感覚を刺激する映像に目を見張ものがありましたった。奈良の自然や古い町並み、レトロ感のある家や木を中心にした和の風情と赤と黒の色調が、金魚を使った幻想的なシーンなど映像の美しさを際立たせてくれました。

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