mixiユーザー(id:1833966)

2021年03月13日05:18

56 view

かつて輝いたエクセレントカンパニーのパイオニアの凋落;会社の盛衰を分けるのは経営者の力量

 カーナビ2位で、かつてオーディオ機器、プラズマテレビ、DVDレコーダーなどホームエレクトロニクス(家電)で一世を風靡したパイオニア(写真=同本社の入る貸しビル)が苦境にある。10日、カーナビに必須のソフトである虎の子の地図制作子会社「インクリメント・ピー」を投資ファンドに約300億円で売却すると発表した。

◎世界初の先端製品を相次いで出したが
 同社は、かつてはエクセレントカンパニーとして、東京証券取引所一部上場時には華やかな存在だった。
 最も輝いていたのは、1990年6月21日、世界で初めてGPSカーナビ発売した年だろう(写真=GPSカーナビ)。この将来性を囃し、バブル崩壊で多くの株が下げ基調の時、その約1週間後の6月29日、上場来高値の6570円をつけた。この株価は、ソニーよりも高く、当時株価が5000円を超えている会社は10社もなかったと思う。
 その後、薄型テレビではプラズマディスプレー搭載テレビを発売し、そのテレビの深い黒色はひときわ秀でていた(写真)。1997年には世界最初のフルハイビジョン・プラズマテレビを発売した。価格は250万円だった。

◎プラズマテレビの大誤算で落ち目に拍車
 ただこのプラズマテレビが同社の凋落を象徴するものとなった。
 当初は、今では薄型テレビの主流の液晶ディスプレーを大画面化できない制約が言われ、その点、制約を受けないプラズマディスプレーが先んじていたが、シャープなど他社は大画面液晶テレビを相次いで投入、次第にプラズマテレビは傍流に追いやられる。
 主力のプラズマテレビ事業で大赤字を出し、ついに2009年3月、プラズマテレビの開発、生産から完全撤退を発表した。それを受け、同社株はこの頃、わずか82円という超安値まで売られた。
 この間、態勢を立て直すために、シャープ、ホンダ、NTTドコモから相次いで出資を受けて立ち直りを図ったが、じり貧の状況は変わりなかった。
 また赤字を補填するために、09年には目黒区の本社(写真)を売却するなど、資産や事業の売却、リストラを続けた。

◎28年で株価は100分の1以下に
 こうした事業売却やリストラで規模は大きく萎み、14年前の07年3月期には7971億円もあった連結売上高は20年3月期には3151億円と半分以下に縮んだ。
 パイオニアは、自身もそのままではいられなくなった。
 18年12月7日には、香港の投資ファンド「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」に身売りし、上場廃止を発表した。この発表を受け、3日後には80円台の株価は62円まで売り込まれた。1990年の史上最高値の6570円と比べると、実に100分の1以下、である。
 翌年3月26日に上場廃止となったが、最後の日の終値は倒産ギリギリを思わせる65円だった。

◎運命を分けた経営陣の先見性と決断力
 パイオニアの凋落の根本原因は、エクセレントカンパニー時代のオーディオ機器やDVDレコーダー、プラズマテレビなどの家電製品が、コモディティー化の大波に足をすくわれ、他の収益源を開拓できなかったことだ。対照的にかつてのホームエレクトロニクスの雄のソニーは、多角化を進め、家電から脱却して1万円以上の高値をつけている。経営陣の先見性と決断力の差であろうか。
 実際、この間、シャープ、三洋などの家電会社も、外資に売られたり、他社に吸収されたりして消えている。非上場とはいえ、パイオニアがまだ残っているのは、幸運と言えるのかも知れない。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202103130000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「アメリカ大統領選(7):第5戦もバイデン氏圧勝、民主党大統領候補指名に大きく前進」

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年03月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031