mixiユーザー(id:1833966)

2021年03月06日04:25

62 view

武漢肺炎ウイルスの増殖、同定などで今も世界で広く使われる日本人研究者が確立したベロ細胞

 武漢肺炎ウイルスを含めて、ウイルスは生きた細胞内でしか自分の遺伝子を複製できない。その細胞は、動植物いずれでもよい。ただし何でもいいとは言えず、相性がある。

◎アフリカミドリザルの腎臓上皮細胞から取る
 ウイルス学者にとって非常に重要な細胞にベロ細胞というものがある(下の写真の上)。千葉大細菌学教室の安村美博氏(下の写真の下=右)が、1962年にアフリカミドリザルの腎臓上皮細胞から無限に増殖する特殊な細胞を得ることに成功した。ベロ細胞(Vero cell)と名付けた。
 ベロとは、エスペラント語で「真理」という意味で、自身がエスペランティストであることから、この名を付けた。また「Vero」はミドリザルの緑を表す「Verda」と腎臓を指す「Reno」を合成した語でもある。

◎癌細胞でもないのに無限に増殖
 動植物の細胞は、無限に増殖はできない。できるのは、癌細胞だけだ。ベロ細胞は、癌細胞ではないのに、無限に増殖できる希有な細胞である。
 癌細胞で、無限に増殖され、世界中に配布されて医学研究に使われている重要な細胞にHeLa細胞がある。これについては10年ほど前に日記に書いた(11年2月21日付日記:「HeLa細胞(ヒーラ細胞)60年、人が死んでもがん細胞は今も永遠の生を生き続ける;ジャンル=生物学、医学」を参照)。
 またベロ細胞は、ありがたいことに様々なウイルスに感染し、効率よくウイルスを増やせる。

◎ポリオワクチン作成には必須の細胞
 だからベロ細胞は、効率的なワクチン製造工場になる。ポリオや狂犬病のワクチンは、ベロ細胞で製造された。
 武漢肺炎が世界的に感染し始めた2020年1月、オーストラリアの研究所と日本の国立感染症研究所が、ベロ細胞を使ってこのウイルスを増やし、イギリスで12月に変異株を同定したのにも、ベロ細胞が使われた。
 安村氏は後に獨協医科大学に移り、微生物学教室を主宰した。
 半世紀以上前、若手細菌学者の偉業は、今も現代医学で利用されているのである。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202103060000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「アメリカ大統領選(5):スーパーチューズデーで意外の圧勝を遂げたバイデン氏、ブルームバーグ氏らは撤退」

3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年03月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031