mixiユーザー(id:411965)

2021年02月21日20:59

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「あの頃。」映画

『あの頃。』
<ストーリー>
 2004年、バンド活動もなにもかもうまくいかない劔はある日友人から貰った松浦亜弥のDVDに感動してハロプロオタクとなる。ファンによるトークライブでスタッフと友人となった劔は彼らとともにオタク活動を続けていく・・・
<コメント>
 舞台が東京でなく大阪、相手がAKBではなくハロプロなどというところにこの作品のなんというか、アンダーグラウンド的でかつものすごく地に足の着いた感じが出ていると思う。
 顔もいいし、ベーシストであって外見だけならリア充っぽい松阪桃李が松浦亜弥に感動してハロプロオタクになるのが冒頭の10分ほどでけっこうしっかり描かれた後は年齢も職業も異なる同志たちとのある意味ぼんくらな日々が描かれていくのだけれども、感心したのは彼らいわゆるオタクたちの生態についてことさら称賛も卑下もせず、しかし重要な部分はきちんと押さえているところ。
 いや、僕もオタクで仲間たちとオタク活動しているし、彼らのイベントはそのまんまSF大会に通じるところがあるし。
 だからオタク活動の正の部分と負の部分がきちんと描かれているのだ。物語自体はことさら大きなドラマはないのだけれども、今泉力哉監督の演出はそういった正負の間を揺れ動くように描いているのでダイナミックにも感じてしまう。
 例えばレコード店の店長が「ほら、昔はよかったとかいうやつがいるじゃない。俺は今が一番楽しいけどなあ」と言い、主人公も「小学生、高校生、大学生と僕らは卒業するごとに別れを繰り返してきた。でも、もう大人になった今は卒業することはないからいつまでも別れることはなく、楽しめるのだ」と述懐したりするシーンは激しく同意してしまう。
 うん、このまま楽しい日々が続くのかと思っていたらとんでもないところから運命の変転が訪れる。
 しかし、それさえも楽しい思い出にしてしまえるオタクのある意味人の道を外れた部分と、そして「幸せの瞬間」をエンディングにもってくるところにも感動してしまった。
 オタクになること、そしてオタク仲間を持つことでどれほど人間は(ちょっとした犠牲は伴うけど)幸福な場所を持つことができるかを描いた作品。

あの頃。
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=411965&id=5098018
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