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2021年01月18日15:29

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スーヴェニール7 (作成中)

あの小さなクマさんのぬいぐるみをカバンにつけてみた。これは可愛い。特に意味はないけど、飾りをつけたことが無いからちょうど良いと思ったのだ。
だからと言って、誰かにそれをほめられたりはしない。気づかれていない。黙ってプラプラぶら下がっているだけだった。

あの子の新しい住所は一応聞いているので、いつか手紙でも送らないといけないなあと思ってる。今までも引っ越したあと、前の学校の子から手紙が来たことがあったが、ちゃんと返事を出した試しがない。書かなきゃと思うのだけど何を書いたらよいか考えているうちに何ヶ月も経ってしまい、出すタイミングでなくなってしまうのだ。
クマさんのあの暗号なあに?と聞いてやろうかと思ったりもするが、それだけで手紙を書くほどのことじゃないからなあ。

電話。あたし苦手なんだ。
自分の携帯はまだ持たせてもらえない。コソコソ何やるか分からんから信用ならんのだってさ。何も考えずにお金をようけ掛けたりするかもしれん、とかも言われた。
メールが出来たら楽なんだろうけどな。
親がいない時に(休みの夕方とか)電話してみることも考えたが、折返しされたら困るなと思ってあきらめた。公衆電話ならその心配はないけど、よくわからない番号だと出てもらえないかもしれない。それより、まず近くに公衆電話がない。下までおりて街まで出ればスーパーの入口にあるのは知ってるが、あんな場所ではかけられない。それにそこまで2キロくらいあるからなあ。

その日の夕方、帰ろうとカバンを抱えて階段を降りていると、「あー春名さん、それつけてるねー」と後ろからいきなりリキコさんに声を掛けられた。久しぶりに話し掛けられたので、思わずビクッとする。
「なによ」
少しムッとしたが、そんなに怒ってはいないみたい。カバンのクマさんをまじまじ眺めている。「あれっ、これマキハラのやつだよね」
あー、あまりジロジロ見ないでよ、と向きを変えて離れようとするがリキコさんが離さない。…ってなんでリキコさん知ってるの。
「なんで」「ん?なんか言った?」「…ううん」
「あ、これね、あたしが買ったんだもん。あーこれ渡しちゃったのね」どういうこと?キョトンとしている私を見て、リキコさんはなんだか面白そうに「本人に聞いてみたら?」と言って「じゃあね」と去って行った。
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