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2020年12月02日00:29

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ルノアール

不要不急でなく走る首都高、ガラガラ。
昔々、友人と話し終えた千葉から神奈川まで帰る午前2時の如く、
夕方なのにガラガラの首都高。

早く着き過ぎた目的地も、
場所で考えたら、ごーすとたうんの様。
車道沿いのデカい寺からは線香の匂い。

何故だか昔のあるある探検隊の、
「寺で遊んでバチあたる」が脳内に流れる。

少し(いや、実は相当の)面倒臭さと緊張感をおぼえつつ、
時間潰せる場を探してたら、幸いにも本屋の2Fにルノアール。

選んだソファに沈み込む。
結構、他にも客がいる。
少し離れた卓では、
見知らぬ爺さん二人が小声で朗読みたいな打ち合わせをしている。

卓上にブレンドが置かれる。

取り出した文庫本、浅葱色の表紙に「逃避の名言集」。
何だか読み進められそうな本だ。

「特に深刻な事情があるわけではないけれど
私にはどうしても逃避が必要なのです」

ブレンド沁み込ませながら文字に目を動かす。
今の私にはまあまあ「事情」はあるけれど、
逃避出来ない合間の逃避として、
ソファに更に沈み込んで、ボーッとしてみる。

1時間後、そして明日、明後日・・・・・・
バラバラの車両が連結しているみたいに、
バラバラなタスクのパレードは続くよ。

パレードは続くよ。

非日常の中でも進めなければいけない事になっている、
日常のパレードさ。

パレードから、必要とされている。
少なくとも、今は。

ゴクリと冷めたブレンドの残りを飲み込む。

おもてへ出ると更に冷めた風。
横断歩道の向こうで、
八百屋の青果が、静かに明るく照明を浴びている。

(さて、向かうとするか)

パレードは続くよ。


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