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2020年11月28日23:31

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映画「薬の神じゃない!」☆☆☆

2020年11月28日劇場鑑賞

中国映画と言えば、大量の人民を動員した大規模な驚愕映像体験を思い浮かべることが多いですが、この映画は社会問題に鋭く深く切り込んでおり興奮というより感動を覚えました。

物語は、2014年の中国を舞台に白血病患者を救う高い薬を密輸により安く売る義賊の話です。

ラストの演出はどれも秀逸で、物語序盤からの伏線を丁寧に回収し、とても分かりやすく観客の涙を誘いました。実際劇場内でもすすり泣く人が結構いました。
主人公の動機が当初金儲けや離婚調停中の最愛の息子を守るためや父親の高額な医療費を賄うためという、自分自身の事情だったのに対して、白血病患者の仲間と徐々に打ち解けて行く中で、患者を救うという慈悲のココロに目覚め、最終的には自分の財産を切り崩して儲け無しで患者に薬を売る姿に高潔な人間の生き様を見られて興奮しました。

若干の欺瞞を感じたのは、偽薬を売っていた同業者(主人公を物語中盤で脅迫する)が逮捕された際に主人公のことを売らなかったのは演出としてやり過ぎだと感じました。
しかし、制作側の事情を察するにこれだけの大問題を上映時間2時間に纏めるためには、憎むべき悪は製薬会社の中国代表だけにした方が分かりやすいという思惑があったのではと感じました。

インドのことを「貧者の薬局」と比喩したり、この世にある唯一の病は「貧困」と断定したり、中々含蓄のある脚本で立派だと感じ入りました。
本当は、もっと主人公がゲス野郎で金儲けして豪邸立ててパーティー三昧とかチャラけた映画なのかと思っていました。
良い意味で期待を裏切る作品でした、お勧めです。

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