最初の3ヶ月17（作成中）

休み時間にヨッチンの教室に行くと、クラスの子にカノジョ呼ばわりされるのは、多分私の態度のせいだと思う。入口でオドオドしてないで堂々と入っていけば、きっと誰も何も思わない。そのようにしてみたら一週間も経てば本当に何も言われなくなった。慣れただけかもしれないけど。
と思ったら「昔の同級生って話してるから、もうなんも言われんよ」と言われた。そんなもんなの？

行くたびに「いい加減、クラスの友達くらい作ったら？」と言われる。結構ウザいタイプなんだな。「毎日、毎日休み時間ごとに来られたら何もできないし」「いなきゃいいじゃん。待ってるの？」「じゃないけど、そんなに外に出る用事ないし」「図書室開くようになったら止めるよ」「なんでここに来るの？」
おお、核心に触れましたね。なんで？なんでだろう。
「…暇だから」「なんで俺んとこなん？」「え…、別にあんたを選んでる訳じゃ無いし。他にいないから」「何が？」
食い下がるな。責められてるの？
「あんたしかいないのよ」「え」ヨッチンの他にもまわりの数人同時に振り向いた気がした。「話ができるのが。…え？あたしなんか変なこと言ってる？」「いやいやいや、え、クラスの子と全然口きかない感じじゃないよね？」「ええっと、、、あの、」「今普通に話してるよね？」「うん。…もういいじゃんそれは」「なんで？」「知らない。あんたは元々知ってるけど、他の子は違うからかな」

あれから、度々私を外に連れ出そうとしたり、ギターおぼえたら？とか、なんだかやたら構ってくる。気のせいかもしれない。友達作れってことなのかもしれないけど、そんな風に構わないで欲しい。

時々あの子が男子の友達と絡んでいるところを見掛ける。私といる時より生き生きして楽しそう。いいなあ。あたしもあっちがいい。男の子がうらやましい。
リキコさんも同じような絡み方をする。あいつは男みたいなものだから、とよく言っている。いいなあ。うらやましい。

ある日の昼休み「おーいマキハラー」と大声で呼びながら入って来た時にはヨッチン一瞬固まっていた。「何よ、出たー！みたいな顔をして」ヨッチンと私の顔を交互に見ながら言った。「ちょっと借りるよ」と言って首根っこ捕まえて教室の隅に連れて行く。「すぐ返すから！」
しばらく何か話をしたあと戻ってきた。「何だったの？」「え？文化祭の合唱コンクールの話。ピアノ伴奏やれって」「ここのクラスの？」なんでリキコさんが？「前から言われてて断ったんだけどなあ。他にいないって言うんだよ」「伴奏弾けるんだ」「弾けない」「それでやるの」「やらない」「なんで」「そういう目立つのはいいから」「えー」それは残念。「なんかさあ、ちょっといいとこ見せようと思わないの？」「思わない」「そうなんだ…。」

「でもなんか楽しそうだよね」「楽しい？合唱が？」「伴奏頼まれて嫌がってるのがさ、、」「どこがー？楽しくないよー」「そう？あたしなんかといるより楽しそうだよ」「えっなになに？どういうこと？」「あたしも男の子だったらいいなあ」「やめてくれよ、メイちゃんまで男にならんでいいよ」
そうなんだ。あたしはそこには入れないんだ。でもあたしそっちがいい。
「あのね、あたしね、」「なに？」「いや、あとでいい、帰るときに言う。」「うん」「そろそろ教室に戻るわ、じゃあね」