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2020年09月17日22:40

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最初の3ヶ月 11(作成中)

昼休み。教室ですばやくご飯を食べた後、階段を下りているとパンをたくさん抱えたヨッチンに出くわした。「あ。パンいっぱい持ってる。いいなー。」「メイちゃんどこに行くの」「さんぽ。それ全部食べるの?」「あー、これ友達に頼まれたやつだから。自分は弁当食べたし」「えー?なんで食べないのに買いに行くの?」「じゃんけんで負けたの!はい、どいて」「ふーん。一度売店のパン食べてみたいんだよね」「買いに行ったらいいじゃん」「だってお母さんがお弁当作ってるし。食べられないもん。」「なんでまた上ってくるの」「べつに、暇だから」「ごめん忙しいから後にして」「後で行ってもいいの?」「わかった。10分後に来て」「本当に行くよ。教室にいてよ。また後でね」

しばらく校内を散歩したあと、10分後教室をのぞいてみた。「なんだよいねーし」あの子はまだ戻っていなかった。あまり不審にならないように、その辺をうろうろしながらしばらく待った。私じっと待っているのは苦手なんだけど、その場を離れたら会えなくなるから。
掃除の始まる時間ギリギリまで待ったけど、ヨッチンは戻って来なかった。どこに行ったんだろう。まあいいか、そういうこともあるわな、と思い自分のクラスに戻った。

帰りに自転車置き場で見かけて、ヨッチンはこちらに気づいて「あ、」と言ったけれど、そのまま他の友達と行ってしまった。
まあそうだよね、そりゃ普通に友達と一緒にいる方がいいわな。あんまり邪魔しちゃいけないんだろうな。友達でもないのに。

そう言いながら、次のお昼にも教室にのぞきに行き、帰りに待ってみたりした。その次の日も。どういう訳か3日間全然見掛けなかった。もっとも、普段からそれくらい会わないのは普通なんだけど。探しているから気になるのかもしれない。
そうやって教室に来て見ていると、クラスの子に「なに?」と声を掛けられたりした。困って、なんでもないですと首を振って見えない所に下がった。

4日目の昼に行くとそこのクラスの子が私の顔を見るや、「おおいマキハラ、また彼女来とるよ。」と呼んでくれた。けど、彼女じゃねえ。
そんなもんに、なりたくもない。
ヨッチンが出てきて「毎日来なくてもいいのに。ストーカーか」と言った。
「…。」

「あ、いや、固まらんでもええがな。笑うとこだから」
「…。」

「困ったな…、」
「いい、悪かった、もう来ない。」

さっさと自分の教室に戻った。恥ずかしい。あの子は追っては来ない。もういい、もともと友達じゃないんだから、知り合いだけどそんなでもないから。

ひとりで自転車を押してゆるゆる家に帰ると、「お帰り。今日は早かったな」とお母さんに声を掛けられた。「普通だよ」と答えると「いつもは帰りに誰かさんと一緒なんでしょう?お母さんには分かるんじゃけえ。神様が全部教えてくれるんじゃから」と言われた。なんじゃそれ。「ふーん。へんな神様じゃなあ」「親にコソコソ変なことしとらんじゃろうな。知り合いの祈祷師のおばさんがうちにはとんでもない子がおる、ゆうとったからな。」「その神様に聞いてみれば?」あほらし。「あの子のことなら友達じゃないから。安心して。」と言い残して2階に急いだ。お母さんにこれ以上巻き込まれたら面倒だから。

それなのに、夜になって眠ろうとすると「ちょっとあんたなあ」と言いながら階段を上がってくるのが聞こえた。「考えようったんじゃけど、やっぱりおかしい!」と言って、部屋の外に座り込んで何か語りだした。ああ、また始まった。こっちがそっとしていても勝手に自ら燃料を注いで燃え上がるやつ。聞くほどの価値がないのだけど、どうしても耳に入ってきて邪魔だ。黙って止まるものではないが、口を挟むと長くなる。嵐が過ぎ去るのを待つしかない。私は何もやましくないはずだ、でも怖い怖い怖い。
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