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2020年07月12日10:25

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映画『透明人間』作品レビュー(2020年7月10日公開)

映画『透明人間』作品レビュー(2020年7月10日公開)
https://toumei-ningen.jp/

 本作はH・G・ウェルズが1897年に発表した小説『透明人間』を原作としており、1933年に公開された映画『透明人間』を現代風にリブートした作品です。
 
 原作やこれまでの『透明人間』と大きく違うことは、透明になる方法。主人公のDVな夫を天才的な光学研究者として設定。これまでの薬品を使わず光学的なアプローチで透明人間を可能としている点で、透明化のリアルティが増しました。具体的な方法については劇中でご確認ください。ただこの方法だと誰にでも使えそうで、主人公が夫に立ち向かう重要な伏線ともなりました。

 
 物語は、ある日の夜、セシリア(エリザベス・モス)は意を決してセキュリティが張り巡らされた彼の豪邸から脱出しようとするところから始まります。のっけからわけも分からず緊迫感に襲われました。セシリアの逃亡に気が付いたエイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)が凄まじい形相で追いかけてきましたが、妹のエミリー(ハリエット・ダイアー )の協力で何とか逃げ切ることに成功したのです。
 
 実はセシリアは、強迫観念に囚われた恋人エイドリアンの束縛に苦しめられていました。ほどなくして、セシリアの元に「エイドリアンが手首を切って自殺した。彼は貴方に500万ドルの遺産を残した」との一報が飛び込んできました。
 自由だけではなく、莫大な財産をも手にしたセシリアでしたが、「エイドリアンは自殺するような人間ではない。彼ほどの優秀な科学者なら自殺を偽造するくらい容易なはずだ。彼は今もどこかで私を見張っているのではないか」という疑念に取り憑かれて離れないのでした。
 
 当初、セシリアの友人たちは彼女の疑念にまともに取り合おうとしなかったが、しばらくして、セシリアの周辺で怪奇現象が頻発するようになりました。ここに至り、セシリアの疑念は「エイドリアンは何らかの方法で透明人間になり、私に復讐しようとしている」という確信に変わったのです。
 
 さて、特筆すべき点として、最新のVFX技術で、透明人間の存在を臭わせるシーンやセシリアと透明人間が絡むシーンの描写が凄くリアルティが増していることです。人が宙に浮いたり、相手がいないのにボコボコにされたりなど透明人間の仕業としか思えない、からみの描写を説得力抜群に描いてくれました。
 
 そして本作をいっそうに盛り上げたのがセリシアを演じたモスの演技です。「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていくところが迫真の演技でした。見ているものにも緊迫感と恐怖をたっぷりと感じさせてくれたのです。
 さらにそこにいるのに周囲に信じてもらえない現実に直面するセリシアの虚無感と孤独感も説得力がありました。
 
 圧巻なのがラストへのラストへの展開。セシリアは透明人間によって殺人の罪を押しつられて精神科の病棟に監禁されてしまいます。しかし透明人間は警戒厳重な病棟にまで押しかけてくるのです。そこでの警備陣と透明人間とのバトルシーンは迫力満天。
 どこまでも透明人間に追われるセシリア。しかし彼女も大切な人が殺されて復讐に立ちあがります。でも見えない者をどう倒そうとするのでしょうか。それをものとしない凄まじい狂気を彼女は抱いて、夫がいると思われる自宅へ向かうのでした。
 
 自分の死亡まで完璧に偽装してしまうエイドリアン。もし彼が透明人間の正体であったとしたら一筋ならではの終わり方にはならないでしょう。奇想天外なラストシーンをぜひお楽しみに(^^)これまでさまざまな透明人間があったが、1、2を争う秀作といえそうです。

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