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2020年06月24日13:06

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映画『水曜日が消えた』を見てきました。

映画『水曜日が消えた』を見てきました。
http://wednesday-movie.jp/
2020年6月19日公開

 解離性同一性障害を患う1人の人間が曜日ごとに異なる7人の自分の様子を、火曜日の「僕」の視点を通して描いた作品。監督・脚本は吉野耕平、主演は中村倫也。

 多重人格を描いた作品としては、どうしてもナイト・シャマラン監督の『アンブレイカブル』(2000年)・『スプリット』(2016年)・ミスター・ガラス(2019年)の三部作と比べてしまいます。その中で特筆されることは、 ジェームズ・マカヴォイが最大でひとり一人二十役をこなしたその演技には、トリハダが立ちました。

『スプリット』のシリーズは、本格サスペンス仕立てで、多重人格者が主人公であることにも大きな意味があったのです。

 本作も予告編ではサスペンスを臭わせるような紹介の仕方をしていたので、期待して見に行きました。ところが『水曜日が消えた』ことがまるで意味がなかったように、元の生活に戻ってしまうことに唖然としました。吉野監督にとっては本作が監督デビュー作となる作品だけに、詰めの甘さを感じるばかりでした。

 もしかしたら多重人格の人情の違いに映画的な興味を持ったことが、監督のモチーフとなった作品なのかもしれません。その点では、完璧に人格の違いを演じ分けた中村倫也の演技は素晴らしかったです。ただそんな映画的な仕掛だけでなく、多重人格のうちの1人がいなくなってしまうことにまつわる話の展開がなかったことが問題なのです。

 水曜日の自分がいなくなったことで、毎週水曜日に出会っていた近所の若い図書館職員との淡い恋も中途半端で尻切れトンボに終わってしまいました。

 また主人公となっている火曜日の自分とは真反対なキャラだった月曜日の自分のズボラなプレイボーイな性格から来る、火曜日の自分との対立が、水曜日いなくなることでどう変化した行くのかという点でも、尻切れトンボで終わりました。

 さらに、繰り返される、少年が交通事故に巻き込まれて、車から道路に投げ出されてしまうシーン。そんなにしつこくリフレインしなくても、あの少年が体験する事故が、現在の主人公の多重人格につながっていて、病院で治療を受けていることにつながっていることくらい簡単に想像できますよ。

 ただ通っている病院の主治医が、特殊な症例だといっていた、主人公の多重人格の経緯を記録したカルテをなぜ改ざんしてしまったのかは、最後まで謎で終わってしまいました。

 また主人公の幼馴染みで、今でも暇つぶしに主人公の自宅に上がり込んでくる一ノ瀬の存在も中途半端でした。少年のころの面影をそのまま引き継いでいた火曜日の自分に好意を寄せていることは察しかがついたのですが、その好意が多重人格のなかでどう揉まれるのか未消化で終わってしまいました。

 全体的に、お話しのプロローグ段階で終わったような作品でした。それぞれの曜日のテリトリーを犯さず、穏便に生活してきた7つ人格たち。それがランダムに交差するようになった時、どんな事件が勃発するのか、次作があればぜひ“本題”に期待したいです。

火曜日の“僕”に、決してくるはずのない水曜日の朝がきた―。映画『水曜日が消えた』 主演:中村倫也、監督・脚本・VFX:吉野耕平。近日公開

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