1983年 大林宣彦
最初に見てから何年経ったろう、「見るに耐えない」という初見からの印象は変わっていない。これは、時代にフィットしすぎたため普遍性を失っているのか、わたしに思い入れがないからか。エンディングで原田知世が歌うための壮大なミュージックビデオ、例えばマイケル・ジャクソンのBADみたいな。前回もそう思った。映画公開時に私は中学生だったので同時代を体験していないわけではない。
大林映画、という言葉があるかどうかは知らないが、これぞ大林監督の文法にのっとった代表作と言ったところだろう。だがいまだに見方が身についていない。あのセリフ回しは不自然すぎる。手塚漫画のコマ割りが逆に不自然に感じられるようなものだろうか。大勢が名作とみなすものが実はそうでなかったということは考えにくい。わたし個人がその鑑賞能力を身につけていないと解釈する方が自然だ。わたしは大林映画のリテラシーを身につけられなかった。鑑賞の基本ができていない。
例えば小津安二郎作品にも鑑賞に耐えないと感じる。作品が刺激するのが主にわたしの鈍感な部分なのではあるまいか。
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