クリスマス以来会っていない。
向こうからも連絡はない。
社交意識のないアスペルガーだからしょうがないが、突然心配になった。
50歳の長女に電話する。
電話を取り上げた様子だが、返事がない。
「もしもし、、、もしもし、、生きてるの?」
「、、、イエス」
「どーしたの、ちゃんと食べてるの、眠れてるの?」
「、、、イエス」
「鬱?」
「、、、、、、」
「ともかく生きてるのね?」
「イエス」
「お願いがあるんで来てくれない?」
双子の息子をとりあげられてから長女は一人暮らし。
友達もいない。
我が家に来るかといえばそれも殆どない。
情報を漏らしただかなんだかで不当に罪をかぶせられたジャーナリストのアサンジ氏を解放するための運動に多忙らしい。
忙しいならと安心していたが、もしや寝込んでいるのではないかと心配になり電話した。
そして口実を設けて来る様に仕向けた。
二日後に彼女はやってきた。
早速用事を頼んだ。
それは風呂の修理。
ホーローびきのバスタブ(風呂)の排水溝のそばが欠けてしまった。
修理キットで一度は私が修理したのだが、再びそこが剥げてしまって鉄が剥き出しになっている。
その修理を頼んだ。
あとで見てみると、私と違ってとても綺麗に欠けたところが修復されていた。
私がやったときはデコボコでマダラになっていた。
プロ並み。
その後も彼女はバスルームで何かゴシゴシやっていた。
聞いてみると、トイレの水洗が上手く作動しないので、それも修理してくれたらしい。
流すとちゃんと流れその後水も止まる。
使用するたびにタンクの蓋を開け、中のあちこち操作して水を止める必要はなくなった。
彼女はほとんど何でもできる。
昨年末にはジャケットに内ポケットを作って欲しいと頼んだ。
仕上がりを見ると、まるで後から作ったとは思えないほどの仕上がりだった。
夕食は白菜と豆腐と海老の鍋。
長女はよく食べたのでほっとする。
何でも上手にできてしまう長女は微かに微笑んで家を出た。
ワインを持たせて見送った。
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