いま若い世代にも寅さん人気が出てきているようです。柴又の記念館にも近年若者の入場者が増えているそうなのです。
子供っぽく、厄介なおじさんだが、純粋でウソがなく、情が深い。過去作からは寅さ
んの魅力、渥美清という希代の名優の人間力があふれるところが若い世代にも魅力に移るからでしょうか。
はたまた、寅さんがいない22年間で、日本社会は随分やせ細ったものですが、格差が広がる時代に、その存在が寛容さを感じさせてくれ、癒されるからでしょうか。
そういう点で、本作では「寅さんって誰」という若者にアピールできたかとなると、いささか心もとありません。回想シーンの映像ではマドンナたちも次々登場し、オールドファンヘのサービス精神は旺盛なんですが、寅さんならではの心意気、優しさに、若者ももっと触れられるシーンが欲しかったですね。
寅さんは満男に「困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ。おじさん、どっからでも飛んできてやるから」と語りかけるところなんて、若者でもホロリとさせられます。
ただ「お帰り、寅さん」と銘打ってはいますが、寅さんがもう絶対戻って来れないなかで、満男に若者を惹き付ける役回りを期待するのは無理があります。そういう点では本作が限界なんでしょうね。
ところで、試写会でも大爆笑が起りました。多くの観客と一緒になってスクリーンに映る寅さんの一挙手一投足に泣き笑いする映画鑑賞の醍醐味を久々に味わって、とても懐かしい感傷に浸ることができました。
あの雰囲気を、劇場に足を運ばず映画をDVDでしか鑑賞しない人にも味わってほしいものです。せめてお正月ぐらいは、映画館で多くの観客と一緒になって、泣き笑いすれば、病み付きになることでしょう。
また洋画しか見ない主義の人にも、騙されたと思って、寅さんの世界に浸って欲しいですね。きっと喰わず嫌いだったと後悔されることでしょう。
試写会での感想も参考にされてください。
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