あれから単純な私は皆さんに勇気づけられて直ぐに元気を取り戻した。
クリスマスの日はまるで日本の正月のように清々しく晴渡った。
一日中料理、孫娘と長女と3人で過ごした。
翌日は7月に突然逝ってしまった次女が昨年のクリスマスにくれたワンジーに包まってのんびり過ごした。
そのワンジーは隣のトトロの狸。
狸姿でキッチンに入ってはクリスマスの残りのローストを摘んでいる姿を次女は笑ってくれていただろう。
そして翌日高校時代からの絵描きの親友がやってきた。
親友はロンドンの長男家族と親戚一同大勢で賑やかなクリスマスを過ごした。
昨年と同じように簡単な日本食を楽しみながら会話した。
あのね、今楽しんじょる(でいる)ドラマがあるんよ。
YouTubeで?
そうなんよ、嵐が丘の日本版なんよ。
面白い?
面白いんよ。ヒースクリフのね子供時代がすごく可愛いんよ。
あんた昔から男の子が好きじゃったからねえ。
好きじゃったねえ、可愛いんよ。
高校の時から言いよった(言っていた)ねえ、男の子が好きちゅうて。
その望み通り絵描きの親友は二人の魅力的な息子に恵まれた。そして今は3人の可愛い孫息子にも恵まれている。
愛の嵐ちゅう(という)題でね。今その男性が復讐をはじめちょるとこなんよ。
復讐?
ふん(うん)復讐するんよ。
激しいねえ。
激しいよね、こういうのが好きなんよ。どちらかちゅうと(というと)ジェーンエアーよりも嵐が丘の方が好きなんよ。
私たち二人は高校で出会い、以来付かず離れずで親交を保ってきた。お互いの人生をずっと見守ってきた。
何もかも知っているつもりが、お互い同士意外な発見もある。
私たちがあれほど気があって仲良くしてきたのは似たもの同士だからと思っていた。
が人生の途中から、あれ、違うかもしれないと感じはじめ、やがて二人の性格や感覚が真反対と気がついたのだった。
そして今彼女も私も彼女の激しさに気がついたのだった。
激しさというか情熱的というか。
発見はいつまでもあるんだな、面白い。
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