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2019年10月10日20:37

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次女の死 3

突然脳梗塞で死んだ次女。
心の準備はなかった。
それは次女の大勢の友達も同じだったに違いない。

昨年から私は持ち物の処理を始めていた。
仕事関連の書類や膨大な美容写真。
本や衣類。
随分と処分したつもりだがまだまだ余計なものは山とある。
100%私が先に行くつもりだった。
整理や処理しながらふと不安になった。
娘たちも私もお互い連絡しあってお互いの状況を確認し合うということはしない家族だった。
お互い大人だから、それぞれが元気であればそれで良しと。
だから干渉もしない。
そこでふと気がついた。
今の状況で私が死んだら次女は後悔するかもしれない。
何しろ私のために何もしたことがないのだ、誕生日、母の日のお祝いは別として。
して欲しいわけではない。
次女にああもすれば良かったこうもすれば良かったと後悔して欲しくないのだ。
そして悲しんで欲しくない。
そうだ、何かしてもらおう。
お茶くらい入れてもらっても悪くないな。
そんな習慣をつけさせよう。
そう考えた上で、私の死の際は悲しまないで欲しい、私は良い娘にも恵まれ幸せな人生だったのを感謝している。
だから葬儀はパーテイの様な楽しいものにして欲しいと、まあそんなことまで書き始めていた。

そんなある日、次女がやってきた。
リビングでくつろいでいた私は、今がチャンスと思った。
そして云ってみた。
「ねえ、お茶入れてくれない?」
次女の返事は簡単だった。
「ヤカンはあっちにあるわよ」
とキッチンを指さした。
らしい!
やられた!
次女らしいユーモア。
そう言ったものの入れてくれるかなと思うのは甘い。
次女はさっさと自分も座って寛ぐのだった。

それから1ヶ月後だった彼女の死。


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