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2019年10月03日00:13

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磯野家





野比家




「コノ星ニ住人ハイナイノカ?」

「ソノヨウデス。家ト思ワレル建築物ハ綺麗ニ残ッテイルノデスガ、
生命体ラシキモノハ・・・・・・」

「カツテハ我ガ星ノヨウニ活気ガアリ、
ココニモ見知ラヌ家族ガ暮ラシテイタノカモ知レヌナ」





* * *





幼年期から成人後数年までを過ごした団地を、何年か前に散歩してみた。
夕暮れ時で、見上げた空の広さも、あちこちから漂う夕餉の支度の匂いも、
昔と変わらなかった。
タイムマシンから降りたみたいだった。

階段を昇り、自分たち家族が暮らしていた、かつての号室のドア前に立つ。
ドアの感じが全く昔と変わっていない。
しかし当時と違うのは、ウチではない、見知らぬ苗字の書かれた表札であり、
それが辛うじて過去と現在を分けている栞に見えた。

見慣れたドアの向こうには、長年私を育んで来た空間があり、
そこに見知らぬ者が異なる家具を置いて、今という時代を生きている。

よく見ると、ドアチャイムのボタンのデザインも変わっていない。
チャイムを押せば、若き母が出て来て、
「今晩はカレーよ」と話しかけて来そうであった。





* * *





「記録エイゾウは撮ッタカ?」
「ハイ。<磯野><野比>ト書カレタ、プレートモ撮影シマシタ」
「我ガ星ノ者タチデ、コノ家デ暮ラス一家モイルカモ知レナイカラナ」



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