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2019年07月31日23:52

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ひとりがたり 作成中

河川敷のベンチでいつも、そのおばさんは語っていた。
歌の詞のような物語のような一人語り。いつもいつも同じ所ばかり、繰り返し繰り返し。
夕方になって誰かが迎えに来て、その人は帰っていく。
その人は、自分のことをに何一つ語らずに、いつか見かけなくなった。いつも迎えに来るお家の人は、その人は何も語らなかったと言っていた。
でも本当は、ずっとずっと語っていた。自分の過去を、思いのたけを、渾身の力で何度も何度も。それは誰にもわからない言葉で、繰り返しの歌のような、物語のような一人語り。
ずっとずっと帰り道を探していた。そのことに誰も気付かなかった。ずっと道を尋ねていた。その言葉が人に届くことはなかった。
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