mixiユーザー(id:22861184)

2019年07月22日00:22

331 view

蟻塚の隣を見た日(アリクイ)




そうか

わたしは気が付いた

それは夢だったのだろうと

わたしは現実をそんなには重んじてはいなかった

それは過ぎ去る夢だったのだと気付いた時には


ロウソクの日を眺めたままの自分は

ロウソクの火を見つめたようにそのまま

再び眠りへとこけていった








ねえさっちゃんはさ

サツキの五月だからさっちゃんなんだよね?


いいえちがうよ

さっちゃんは

さつじんきだからさっちゃんなのだよ

ところで君は誰だい?





ねえさっちゃんはさ

さちおねえさんをたべたひとかい?

さきほど

ここには

あくまが

立っていたらしいんだよ


それは判らない

わたしは思いのほか

あなたがたのような日常と

相差しないから


それはヒグマか

トラのごとくものであろうと

ゆって彼は寝どころへと帰っていった





あなたがさっちゃん


ところでさちおねえさんを見かけなかったかね

さちはそらでゆゆうとしているよ



あなたが殺人鬼のさっちゃんでしょ

きゅうにこどもがさけんで

わあわあ泣いて私の手を払いのけた




わたしには嫌われる理由はごまんとある


隣には蟻塚に手をかけて

長い舌をのばして蟻を食っていたケモノがいた

わたしは離れる時ケモノはわたしには振り向きもせず

ただ蟻塚の塔と格闘し

長い舌を這わせて夢中なのであった





もしも蟻塚の蟻が全部食われたら

もしくはその蟻塚の蟻を食い続けるアリクイが


わたしは考えたのであった

宇宙は広くて狭いのかもしれない

もしも

疑問は頭痛の種ともなるに相違ない

無能なものは思考を停止せよ

だが有能である者は可能な限り


わたしも再び道路の道しるべや

案山子のようなものとして


役割を渡されるかもしれない

師はどこにでもいる

それこそ

自分以外のすべてだ


6

蟻塚の隣を見た日

そこには人間には天敵の悪魔がいた

アリクイはめざどく蟻塚を崩壊させようとした

しかしまだ蟻は生きている




さちおねえさんはとても美しく

故に命を陰に取られてしまった

目の不自由なさちは

夜半に崖をミスしたのだ

そうして命を希い

祈ったまま天に召されました


陰はくすね盗った

宝石のごとく物を

天の前では容易に隠すことができません



アリクイは

人の頭蓋骨をやぶって言いました


蟻はこのように勤勉だがわたしは立っていた

わたしはたっていたがだれかがもんくをいいましょうか

アリ達はみなしたがって文句は言わなかった


そうしてアリクイは鋭い爪を振りかざして申した

もしもまたなにか理由があって呼ぶのであれば

そのときは呼ぶが良い暇なので




ヒトリノカミはそうして元の生活に戻っていった

アリクイの背後には七つの命がある









0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する