mixiユーザー(id:735114)

2019年03月23日09:59

235 view

【オペラ】ウェルテル(新国立劇場)

2016年4月に初めて鑑賞した作品で、今回も同じプロダクション。ゲーテの原作に特に心打たれたわけでもなく、マスネの音楽は積極的に聴く機会を持たないためにあまり馴染みもなく、1作品をとりあえず2回は見ることを自分に課しているための義務感でチケットを購入。タイトルロールを歌うピルグは2018年3月の「愛の妙薬」ネモリーノ役を聴いているが、そのときの感想は「高音が裏声的なのと、低音がざらついているのが気になった」。
というわけで、ほとんど期待をせずに劇場に行ったのだが、しかし、シャルロット役の藤村実穂子の存在感が圧倒的、第1幕で亡き母を思いながら、第3幕でウェルテルからの手紙を読みながらのアリアが素晴らしすぎて、泣けた。

アルベールがピストルをウェルテルに貸すにあたり、シャルロットに「お前から渡しなさい」と命じるところは、男の嫉妬全開。でも、ウェルテルが去ることを望んでいたアルベールも、このような結末を期待していたわけではないだろう。
ウェルテル亡き後、シャルロットはアルベールの元に戻ったのだろうか。心をウェルテルに捧げてしまったシャルロットをアルベールはどう受け止めるのだろうか。2人の今後が気になる舞台だった。

ピルグは、個人的には、内省的でストーカー予備軍(笑)なウェルテルより、楽天的でほのぼのしたネモリーノのほうが向いているような気がするが、今回のウェルテル役は特に違和感はなかった。高音がもう少し鋭くてもいいかなぁ・・・。
藤村実穂子はシャルロット役ロールデビューとのこと。バイロイト音楽祭で9年連続ワーグナーをバリバリ歌っていたキャリアの持ち主でありながら、まだ歌っていない役があることが驚き(いや、むしろワーグナー歌手だからこそ、フランスオペラは縁遠かったのかも)。



演出:ニコラ・ジョエル
指揮:ポール・ダニエル
ウェルテル:サイミール・ピルグ
シャルロット:藤村実穂子
アルベール:黒田 博
ソフィー:幸田浩子
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する