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2019年03月07日01:19

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「ブルータス」の「WE LOVE 平成アニメ」特集

 今月号の雑誌「ブルータス」の特集は「WE LOVE 平成アニメ」。どんなものかと思って読んでみたらなかなかの内容に感心してしまった。一般のアニメ誌のようにアニメに特化せず、日経エンタティメントのように娯楽紹介に徹した浅い内容でなく、アニメだけにこだわらずに『Fate』『ヒプノシスマイク』『刀剣乱舞』『ゴールデンカムイ』『ユーリ!!!on ICE』などの5つの作品をキイワードにしていわゆるアニメを中心とした周辺のサブカル事情を紹介し、これを評価。サブカル文化人がよくやる冷笑的なツッコミ(僕はこれが大嫌いなのだ)がまったくなくて、本当にきちんと文化として語っているのに好感が持てる。
 中でも『刀剣乱舞』に項ではこの作品が文化財のあり方にも変化を巻き起こした事例が紹介されていた。なんでも関東大震災のときに被災して焼身となり、文化財としての価値を失った<燭台切光忠>を徳川ミュージアムで保管していて一般公開する予定もなくこのまま死蔵するのかと思われていたが、『刀剣乱舞』でキャラクター化されたことから見たいという声が上がり、イベントのときに公開して写真撮影も許可したという。すると「光忠を守ってくれてありがとう」という声と共に見に来る人が増え、やがて文化庁主催のイベントで「被災刀剣」として美術鑑賞用の刀剣とは別の文化財としての価値を与えられるまでになった、という。うん、これは凄い。焼けた刀であってもそれに与えられたキャラクターによってファンを動かしてまったく新しい価値を与えられたのだな。
 この雑誌では誤解や偏見を抱かないように一切「萌え」という言葉を使っていないけれどもこの人を突き動かす衝動は確かに「萌え」であるのだ。
 アニソン関連のアーティストや撮影技術の解説、そして最後の最後に1ページに新聞のラテ欄を模してぎっしりといわゆる「神回」を紹介するというアニメ普通のアニメ雑誌でも出来ないような挑戦的な試み。
 アニメとその周辺をきちんと文化として紹介した極めてよく出来た特集。圧倒されてしまいました。

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