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2019年01月19日04:00

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暗い路地のベトナム料理店 2

あの暗い路地での店など一軒も無い通りでは、ついにレストランは見つからず、同じく見つけられなかった友人と

どうする、その辺で適当に見つけてはいる?

それよりもまずはギグの近くまで行きましょう。

背が高くおしゃれな彼女はこんな時の決断は素早い。
その夜私たちは食事の後で通訳しながらも音楽活動をもしているKさんのギグに行く予定だった。

バスを降り歩いていると、友人は何も言わず店に入った。
目の前のカウンターには寿司弁当が並んでいた。
ん?
奥に案内されテーブルにつく。
なんか頼り甲斐のあるボーイフレンドにリードされているような気分。
何も言わないでワクワクさせるそんな感じ。

彼女はメニューを見ながら何がいいかなと言いながらどんどん注文の品を決めていく。
私も身を乗り出して

卵とネギトロも

と注文。

大皿に並んだ寿司を見て気がついた。
私はずっと美味しい寿司を食べたいと思っていたことに。
熱いお茶と味噌汁。

まずは大好きなネギトロから。
うん、美味い!
トロも、シメサバも、イワシも口にする全てが絶妙。
貝柱は甘くてとろっとしている。
イカは軽く焼いてあり香ばしい香りとレモンの酸味が軽く効いているのがなんとも言えない。
アナゴは変な柔らかさがなく適度にしまっていてこれも香ばしい。

苦しいほどの満腹感と幸福感。
そうだ、孫娘と私の翌日のランチにカウンターの寿司弁当を買おうと席を立った。
ついでにお会計も。
この時間になると弁当は半額ですと言われ、色々選んだ。
どれも巻物で細巻きからミニ太巻きのサイズの巻き寿司が6個から8個並んでいる。
さてお会計を

あ、お食事の方は既にお支払い済みです。

えっ、もう?

弁当代だけ払って席に戻る。
いやいや、参ったなあ。
してやられたってことだが、ますます頼り甲斐のあるボーイフレンドがやりそうなことだ。
すごいなあ、いつの間に?
先に会計しておくべきだった。
私がご馳走する予定だったのに。

ダメじゃない、私がご馳走したかったのに。
でもすごく美味しかった、ごちそうさま。

と礼を述べると彼女は

今日は見つけられなかった店を選んだお詫びです。
いや今度またシメサバをご馳走になりに行きますから。

その後ギグに行きインプロバイゼーション(即興、自由な演奏)を聞きながら眠くなった。

もしかしてあの暗い路地のベトナム料理店はネット上だけに存在しているのだろうか?
引きこもりに近い私には知らない地域の暗い路地を小雨に濡れながら歩くのも、その後に案内された寿司屋もギグも刺激的で、ほんと良かった。
感謝感謝。






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