mixiユーザー(id:6400308)

2018年12月24日00:06

470 view

工藤雅典監督イベント

 上野オークラで工藤雅典監督イベント。まず渡邉元嗣09年作品「愛液ドールズ 悩殺いかせ上手」。家庭内別居の夫婦が、ともに若い愛人を家に連れ込んで関係を持っている。妻の愛人である青年は、夫のパソコンに来たメールに返信すると、女性型ロボットが送られてくる。
 レンタルロボットが普及した世界だが、それ以外は現代。ピンク映画の予算だけでなく、描きたいことはSFではないのだろう。青年は女性ロボットを本気で愛するようになり、2人で逃げようとする。最後のオチはフィリップ・K・ディックだが、恋愛至上主義なのはいかにも元嗣監督だ。青山えりなさんロボットが、停止する場面の変顔がおかしい。竹洞哲也監督作では絶対やらない芝居だ。
 「如何にも不倫 されど不倫」は工藤雅典監督監督08年作品。妻の父親の援助でバーを経営する男。その前に現れる不倫でキャスターを降板させられた女。どうしようもなく惹きつけられる男。
 ニンフォマニアの女に破滅させられる男を描いたファム・ファタール物。工藤監督は登場人物たちの心情をきっちり描き、人間関係が壊れる様を見せる。仕事を失っても好きになった男と関係する女はいっそ清々しいし、悲劇のきっかけを作る従業員の女性にも肩入れできる。工藤監督らしい人間ドラマで楽しめた。
 そして工藤監督の新作「師匠の女将さん いじりいじられ」。元お笑い芸人の主人公は、今は政争のバイトで食いつないでいる。新たに入ってくる女性。これが主人公の憧れていた亡き芸人の未亡人と分かり、親しくなる。
 主人公は未亡人の娘、ただし夫の連れ子の女性は父を失った孤独からセックス依存症となっている。この女性が不穏な雰囲気を醸し出すが、予想通り悲劇を招く。
 ニンフォマニアの女性が人間関係を壊すのは、同時上映の旧作と同じ。しかしより深みが感じられる。旧作のヒロインは制御不能の怪物のようだったが、この女性は苦しみが見える。そして未亡人の主人公を想う行為が、さらに悲劇を招く。 
 また、徹底して嫌な奴だった主人公の元相方も、最後に見せる涙で印象が変わる。元相方に走った元カノも、留守電での告白で、セクハラ社長も主人公への心遣いで、これも印象が変わる。この多重な描き方がいい。
 主人公は、「こんな街、消えてなくなればいい」と思う。しかしラスト近くの一瞬、街が一気に開かれた感じがする。これは夢にすぎないが、それでも主人公に僅かな希望が見える。工藤監督らしい人間ドラマが楽しめた。
 規制の厳しいエクセスの中で、作家性を感じさせた工藤監督だが、エクセスの製作停止以来映画を撮る機会がなかった。今回OPで復帰できて本当に良かった。次回作にも期待。
 上映後イベント。その前に4代目マスコットガールの発表がある。舞台袖から傘で顔を隠して登場。傘を閉じるときみと歩実さんだ。歴代マスコットガールよりキャリアがあり、今年のOPフェスティバルでの印象的なポスターなど、大蔵映画に大きく貢献しているので、順当だろう。この後のイベントの盛り上げぶりは、歴代マスコットガールのデビュー戦を上回る。
 それから並木塔子さん、水川スミレさん、生田みくさん、安藤ヒロキオさん、折笠慎也さん、工藤雅典監督が登場。後になって小滝正大さんも登壇。
 この映画の原題は「年上の女」。元ネタはジャック・クレイトン監督の同名映画。そして娘の部屋に入らない約束は、「鶴の恩返し」とか。
 並木塔子さんは「恋の豚」での登場が衝撃的だった。この人があの男の奥さんとは。今回は早くも主演。人気のある人だ。水川さんはお笑い芸人役で、まさかのコント場面あり。ここが最もきつかったそう。生田さんは長身揃いの出演者の中で、1人小柄でかえって目立つ。安藤さんは元芸人とは意外。折笠さんは初のクズ役。男優2人はこれまでのイメージと違った役柄だった。来場はしなかったが、工藤組ミューズ酒井あずささんが、特別出演なのに目立ちまくり。酒井さん登場場面はほっとできた。
 サイン会はまたも長い列。工藤監督はロビーでお客さんの相手をしている。01年のシネロマン池袋での舞台挨拶、11年の田中スタジオ納涼会依頼話ができたが、腰が低くていい人だ。久しぶりのイベントを楽しめた。
 
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年12月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     

最近の日記

もっと見る