そこは柔らかな広い 洗い晒されたような草臥れた荒野で
秋の枯葉や枯れ枝の色彩だけが全てを支配していた
僕を心細くするヒヤッとした風が吹き
あたりは刻々と暗くなっていくが奇妙なことに
いつまで経っても真っ暗にはならない
遠くで誰かが誰かを呼んでいる声が聞こえるが
僕を呼ぶものは誰も居ない
そこは自由で寂しい場所
「秋」という名の王国跡
でも今はただの だだっ広い野原
雑草が色付いて、そして色褪せて行く
ここは僕のための場所で
同時に僕はこの場所から拒絶されていた
どちらにしてもそう長くここにいることは出来ない
どうしてだかわからないが
その事だけは知っていた
・・・でも あと少しだけ僕をここにかくまっていてくれないか?
どうも苦手なんだ
学校も塾も 放課後の校庭も
そしてその
誰が決めたかわからないようなルールに さ
どうしても馴染めないんだ
秋になるといつも思い出す、
子供の頃の心象風景。
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