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2018年09月30日17:14

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【展覧会】モダンアート再訪展(横須賀美術館)

新宿駅構内で、サルバドール・ダリの作品を配したポスターに目が釘付けになった。「ポルト・リガトの聖母」。妻ガラを聖母に見立てた宗教画でありながら、ダリらしい奇抜さに満ちている。聖母子の胸部が長方形にくりぬかれて、遠くの水平線が見えるのが印象深い。
この絵を近くで見てみたい! というわけで、横須賀美術館へ。
今回の展覧会はすべて福岡市美術館の所蔵品で構成されている。まさか「ポルト・リガトの聖母」が日本にあったとは・・・。

さて、目的の「ポルト・リガトの聖母」は想像していたよりも大きな作品だった。青空と穏やかな海、爽やかな空気感。さすがはダリ、均質に絵具が塗られて筆跡さえ見えないのに、質感の描き分けがすごい。インパクトがあるのは、画面中央に描かれているパン。立体的に見える。キリストの胸の中にあり、なおかつ作品の物理的な中心点にもなっているので、ひそかに目立つように描いているのだろう。そしてこのパンの質感がものすごくリアル。
それにしても・・・キリスト教徒にとってパンが宗教的な意味で大切な物であることは理解するし、ダリの描写力も驚異的だけれど・・・ダリが描くパンはどうしてこれほどまでに不味そうなのだろう・・・。

山崎直秀の「Book 1」「Book 2」「Book 3」もメモしておきたい。
これらは、岩波新書風の表紙を持つ書籍だが、中身はまったく意味をなしていない、という作品だ。
最初は「えっ、試し刷りの紙を使って束見本を作りました、みたいなものでしょ! そんなものがアートになるの?!」と思ったが、後で「中身に意味がない」ということの重大さに気付く。世の中に数多く出回る書籍の中で、「中身に意味がある!」と多くの人が賛同してくれる書籍が果たしてどれくらいあるのだろうか。出版社勤めの私には耳の痛い作品だ。
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