2018年5月29日(BS鑑賞)
普通に面白い映画だったけど、この映画が語るメッセージに共感できるかと言われれば、全く共感できないとまでは言わないけど厳しいというのが素直な気持ちです。
物語は、人類が繁殖能力を失った近未来のイギリスを舞台に、奇跡的に妊娠を果たした若い女性を守ることになった男を描いている。
人は2種類に分類される世界があり、一方は「選ばれた人」でこの人は救われる、他方選ばれなかった人(その他多数)は、何の救いも無い世界で過酷な運命を辿るという極めて極端な選民思想を、妊娠や赤ちゃんという一般的に否定しづらい事象を利用して、効率的に語ると言う作り手の明確な意思を感じる作品で、普通の監督だったら妊娠した過程や彼女自身を調査し人類全体を救うような物語にすると思うのですが、その他多数を救う気の全くないところがはっきりしていてすごかったです。
イギリスの灰色の空とデストピアの相性が良いのは、映画「Vフォー・ヴェンデッタ」を観た時感じましたが、この映画の劇中政府が精神安定剤(劇中殺鼠剤代わりに使っていた)を無料配布しているとか、ブラックなユーモアがありとても良かったです。
ウィキで調べるまで分からなかったけど、一見長回しに見えるシーンをCGとコンピュータ処理で繋ぎ合せて作っているという驚異の映像体験をすることができますし、SF設定として子供を巡る話しというのが新鮮で、総論としては嫌いになれない物語ではありました。
しかしながら、前述した選民思想を突き放した感じに淡々と描くこの映画全体に漂う無機質な冷たさを、心地よいと思えるほど人間がひねくれていないため、どうしても違和感がありました。
分かりやすいといえば、とても分かりやすい映画なので、一先ずは一見の価値はあると考えます。
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